夢のその先 3
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「出来た〜!出来た!出来た!出来た!遂に竜化に成功したぞー〜!」
俺はバジリオ、オストラヴァ王国軍第一部隊を率いるエルアルディオ殿下の右腕だ!散々、バカにされてきたけど、遂に!遂に!俺は竜化に成功をした!
もうこれ以上、殿下にでかい顔はさせねえぜ!
「おじちゃま、ようやっとせいこうちたのー〜?」
「おめでとうー〜!」
「これで僕らの仲間入りだねー〜!」
竜化をしてあっという間に各都市へと飛んで交渉に出てしまうエリアルディオ殿下を下界から羨ましそうに眺めているだけだったのだが、竜の血が濃いと自負する男たちは、
「俺だって出来る!俺だって出来る!」
と叫んで、自身の竜化にチャレンジする事になったわけだ。
竜化に成功したら巨大化する事になるので、広い草原に出て、気合いをいれる、瞑想をする、危機的状況にあえて陥ってみせる、鍛錬するなど、さまざまな取り組みをしていったわけだがうまくいかず、竜化への迷路に迷い込んでいたところ、
「ねえ!ねえ!僕、出来たよー〜!」
まず竜化に成功したのが、ペドロの息子サウロ(5歳)。彼は草むらをゴロゴロでんぐり返しをして遊んでいたのだが、ぐるぐる回っているうちに竜化に成功。
「ねえ!見てー〜!私も出来たー〜!」
次に成功したのが、ロナウドの娘ヤスミン(7歳)草むらで側転を披露していたところで竜化に成功。
草原での竜化チャレンジは、子供を押し付けられる絶好の機会とされていて、草原に来る奴は大概、自分の子供だけでなく、甥やら姪やらを連れてくる事になったのだが、なんと、なんと!草原に連れて来た子供達の方が先に竜化に成功してしまったのだ。
「バジリオおじちゃま〜ぼくもでちた!でちたおー〜!」
甥のレオナン(3歳)までもが竜化に成功した時には思ったね、叔父としての立場、無くなってねーかーってね!
「まだ変われないのー〜!」
「もう無理なんじゃないかな〜?」
「センスないんじゃないのー?」
子供たちの悪気のない言葉を受けながら俺は誓ったね、ガキどもに一番は譲ったが、大人の中では絶対に俺が一番最初に竜化をしてやると!
ガキどもにこれ以上、でかい顔はさせねえぜと!
そうして草原にて、受け身とでんぐり返しと側転とバク転を百回以上に渡って繰り返し行っていた所、遂に!遂に!俺は竜化に成功したわけだ。
「殿下〜―!殿下―〜!遂に!遂に成功しましたー〜!俺は成功したんですー!竜化に成功しましたー〜!」
鱗が橙色に輝く竜と化した俺は、炎を空に向かって吐き散らしながら青空の下を滑空した。王都の上空を竜体で飛んで行ったら、街の連中は俺様の姿を見て驚き、腰を抜かしてパニック状態になるかと思ったんだが、奴ら、殿下で耐性が出来ているからか、驚きもしねえし、こっちに向かって呑気に手を振る有様だぜ。
まあいい、とにかく、立派な竜に変化した俺様の姿をエリアルディオ殿下に見せつけて、度肝を抜かしてやるぜ!
王都ヴィアレッジョの王宮はこんもりとした小高い丘の上にある白亜の城であり、幾つもの尖塔が空に突き刺さるようにして伸びている。
王宮の中でも一番高い塔のテラスに番のアンジェラ様と一緒に出てきた殿下は、呑気な様子でこちらに向かって手を振っている。
何故、俺様の姿を見て驚かない?
「殿下―〜!大人の中では一番最初に竜化に成功しました!凄いでしょう!素晴らしいでしょう!ねえ!ねえ!ねえ!」
バッサ、バッサ、羽を動かして空中で停止している俺様の凄さときたら!始めての竜化でここまで出来る俺は天才かもしれねえぜ!
「ああ、お前は王国軍の中で一番の強者と言えるだろう!」
赤髪の殿下は男でも見惚れちまうような色男なんだが、ニコニコ顔で褒められると、さすがの俺も照れちまうなぁ。
殿下は隣に居るアンジェラ様の額にキスを落とすと、残念そうに肩をすくめながら言い出した。
「そんな1番の強者であるバジリオには、やっぱり王国軍を辞めてもらわなくちゃならないみたいだな」
「はい?辞める?俺が王国軍を辞めるですって?」
「そうなんです、申し訳ないけれど、辞めてもらわなくちゃいけないんです!」
アンジェラ様まで何を言い出しているのだろうか?
「いやいや、俺は辞めねえですよ?嫁を食わしていくのに、ここで無職になってどうするんですか?」
「いや、無職にはならない」
「え?じゃあ、軍人を辞めて何になるんですか?」
「辺境伯になってもらおう」
「はい?」
「今回の騒動を解決に導いた褒美に王家から爵位を授けるなんて話も出ていただろう?」
「いやいやいや、俺は平民出身なんで、いらないって言っておいたじゃないですか?それに、俺程度の人間に爵位を授けるって言ったら、精々が男爵位でしょうよ?」
「いや、マルサラ辺境伯位だ」
えーーっと、辺境伯って辺境にある伯爵位っつう意味にうちの王国ではなるんだけど、隣国からの脅威から守る意味もあって、立場的には侯爵位と同じ扱いになるんだよな〜
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