夢のその先 1
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「僕の番、どうしたの?悲しい夢でも見たの?」
「ううん・・違います・・だけど・・長い夢を見ていたみたいで・・」
目を覚ます前から涙がこぼれ落ちていて、頬を涙が濡らしていました。
結局、私はエリアルディオ殿下と結婚する事となり、殿下は王太子として国に認められる事になりました。
弟であるルクレッツィオ殿下とチェレスティーナ妃殿下は、炎の竜の業火攻撃の影響を喰らって真っ黒消し炭状態にまで一時はなったんだけど、今では起き上がって話せるまでに回復しています。
異界の雌竜を王家に引き入れ、国家を転覆寸前にまで追いやったという事で、ラディカーティ公爵家は爵位を剥奪されました。聖女認定の宴に参加した貴族たちは残念ながら全員死んでしまったという事もあって、当主交代、爵位返上、没落と色々あって、王国内の勢力図はがらーっと変わってしまったのだそうです。
自分の利権ばかりを追求する人達が一掃される事で、脳筋ばかりが残る結果となった為、
「タダで飯が食えると思うなよ!」
と、王妃様に言われながら、ルクレッツィオ殿下は離宮で仕事をさせられているらしいです。
ちなみに、殿下と妃殿下は離宮に幽閉となっています。
授かったお腹の赤ちゃんはダニエラ様から飲まされた薬で授かったという事もあって、本当に自分と殿下の子供なのかもわからない状態で、しかも、生まれ出た赤ちゃんが巨大化するわ、家族はタール化するわで衝撃が凄すぎたのでしょう。
心が子供の頃に返ってしまったようで、外には出せない状態となってしまったのです。
殿下が献身的に妃殿下の面倒を見ているのですが、叶うのならば、生涯、離宮で幽閉のままでいたいと仰っているそうです。
「どんな夢を見たの?まさか、辺境伯領に戻りたいとか?」
私は辺境伯家の一人娘なので、本来なら亡き父の後を継ぐために爵位を継承するべきなのでしょうけれど、ここに来て王太子妃になっちゃっていますからね。
「そうじゃないんです、ただ、多分、父と母の夢を見たんだと思います」
あれは、生まれ変わった後の物語じゃないのかな?
色々な人が登場していたように思うんだけど。
「父君と母君の意思を継いで、やっぱり辺境伯を継ぎたいんじゃないの?そうならそうと言ってくれれば、王太子なんて他に譲る事にするのに」
「もうそれを言うの、やめにしてくれません?」
オストラヴァ王国は王家の中でも一番強い人が王位を継承する事になっている、次代の中で見回してみたら、一番強い人といえば、異界の雌龍を白熱の炎で燃やし切る事に成功したエリアさん以外にいるわけがないんです。
それじゃあ、2番目に強い人を次の辺境伯にしようという事になって話を進めていると言うのに、隙あらば王位継承を放棄できないかと考えている。
最近では、退位したい王様と即位したくないエリアさんで、顔を突き合わせれば押し問答をしているような状態なのです。
◇◇◇
俺はバジリオ、オストラヴァ王国軍第一部隊を率いるエルアルディオ殿下の右腕だ!
破壊された宮殿も片付けられて、王宮の中もようやっと落ち着いてきた頃合いに、
「竜体化しなければ一人前じゃないって知っていたかい?」
王宮の古文書をあらかた調べていたエリアルディオ殿下が、突然、俺に向かって言い出した。
「今代では、先祖返りと言われる父と母、そして亡くなった辺境伯が竜体化に成功したが、我が部隊でそれに成功した奴が一人もいないのは由々しき事態じゃないのかな?」
王国軍第一部隊は最強を誇ると言われ、番を伴侶に持つ者も多く、竜人としての血を色濃く残していると言われていた。
「部隊長であるバジリオだって、血統独自の血呪方陣は組めるけど、竜に変じる事は出来ないわけだし、不甲斐ないなあと僕なんかは思ってしまってね」
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!
雌の巨大赤ちゃんを抑え込んだのは誰だと思っているんだい?
俺様と俺様の部隊があったからこそ、貴方様は雌龍を消滅させることが出来たんだって事を忘れたわけじゃあ、ないですよね?
「なんだ、不服そうじゃないか?」
金環が浮かぶ琥珀の瞳を睨みつけながら、
「殿下だって!竜体化できないですよね!」
と言うと、
「僕はもう!竜体化出来ちゃうもんね〜!」
と、殿下は言い出した。
我が王国は建国王フェリチャーノ様のお陰で、パヴィアナ山脈が剥がれて起きあがろうとして、バッタンバッタンやっていても、国土としては、どこもかしこも何事もなく済んだらしいのだが、山脈の向こう側のパルマ公国や、北のクシャダス帝国なんかは結構な被害が出たらしい。
地震による地割れやら、土砂災害やらで、あっちもこっちも大変な状態の中で、ここ数年に渡る失政につぐ失政なんかも影響して、帝国あたりは国家分裂の危機に瀕しているというわけだ。
そんな状態で皇帝に求心力を戻すためには、まず何を始めようかと考えたら、第一に他国への侵略戦争を選択しちまうところが帝国らしい。損耗なし、穀物も無事といううちの王国なんかは喉から手が出るほど欲しいだろう。
しかも奴ら、俺たちの能力を阻害する何かの開発に成功したみたいで、前回の戦いでも嬉しそうに笑っていやがったからな。
「帝国が開発したものは竜の力を阻害するものだとは思うのだが、どれほど効果があるのかまずは確認して来ようかと思うんだ」
「へーーーー」
「竜体となったらどんな程度の影響となるのか確認してくるから、王宮の警備の方は頼んだぞ?」
あ〜、番を置いていくから心配だ〜的な。
「了解いたしました!王都は鉄壁の守備で守り続けます!」
ビシッと俺が敬礼をすると、
「何かあったらその首引っこ抜くからね?」
と、殿下は何やら恐ろしい事を言うと、窓から飛び出して行きやがったんだ。
窓から飛び出てパッと光ったと思ったら、鮮やかなグラデーションが入った深紅の竜が咆哮を上げながら空を駆け上がっていく様を見上げる事になって、
「チキショーー!殿下だけずるいぞー〜!」
方々中から怒鳴り声が上がっている。
その日の夜には宮殿へと帰ってきた殿下は、
「竜体に影響?いや、全然大丈夫だったけどね?」
とか言って、机の上に積み上がった書類を手に取っていたけれど、こましゃくれたその態度がムカつく!本当にムカつく!
国境を越えた殿下は、こちらに進軍するために集まってきた帝国兵士の頭上に炎を吐き散らし、集めた輜重に火をかけたらしく、パヴィアナ山脈の長龍に次ぐトラウマを与えて帰ってきたらしい。
後から調べてみたところ、竜族が嫌う音波というものがあるらしくて、その音派を吐き出す古代遺物を、帝国に現れたピンク頭が、わざわざ皇帝に向かって使用方法を説明しながら献上して行ったらしい。
そんな音波も殿下にとっては何の問題もなく、奴らが進軍のために集めた小麦粉やら干し肉と一緒に燃やしてしまったらしい。
「チキショー!殿下だけ竜体にさせてる場合じゃねえぞーー!」
竜体は男の夢!誰しも一度は目指すアイドルみてえなもんなんだよな!
うちの隊員は、自分こそ竜体に変化してやるぞと燃えに燃え上がり始めたわけだ。
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