聖女と魔女 5
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私の夫にちょっかい出してきた、おバカなピンク龍をぶちのめすのが私の役目。
死んでも、死んでも転生して、生まれ変わっても、生まれ変わってもぶち倒す。
だけど、最後の最後で逃がしてしまうのよ。
聖国を滅ぼしても、建国王の力を借りてみても、最後の最後には逃げ出してしまうのよ。
聖女としてぶち当たった時には、この命まで使って消滅しようとしたんだけど、まあた失敗してしまったのよ。
これはあれだな、私自身が相手じゃどうにもならないって事なんだろうな。
『君が転生しないんなら、僕も転生しない。輪廻の輪には入らないで様子を見るよ』
番はそう言って私の我儘に付き合ってくれたのだった。
番は魂の伴侶、どこまで行っても、お互いがただ一人の存在なの。
『これは、子孫に討伐を任せるっていうパターンなんじゃないかしら?』
『僕らの子孫に?』
『そう、そう』
私たちの子孫っていうと、遥か昔に産み落とした子供たちから派生した一族という事だから、誰かを見張るにしても、それなりに目星をつける必要があるのかも。
『とりあえず異界の龍は見張らなくちゃいけない』
『そりゃそうよね』
『だったら僕は頭、君は尾っぽの方で、僕たちの子孫を見守り続けよう』
『別行動を自ら言い出すなんて珍しいじゃない?』
『そりゃあ、生き返っていないからね』
魂に距離は関係ない。いつでも会いたい時に会えるのだから、頭と尾っぽの部分にわかれて移動したとしても、心的負担がないらしい。
しばらくして、辺境に力のある竜が生まれ出た。その力のある竜から子供も生まれた。我が子孫とはいえ、あまりに不甲斐ない親竜だったため、おばあちゃんとして子供竜の面倒を見る事になったわけ。
久しぶりの子育ては楽しかったけど、私が関わり過ぎたのがバレたのか、異界の雌がやって来てしまったのよね。
流石に親竜が子供を守るために、異界のドブスを自分の元に抑え込んでいたけれど、番を殺された悲しみが心に流れてきて、涙なくしては語れないって感じだったわよ。
我が子孫は相変わらず怠惰で、情けなくって、でも、番や子供を守るために必死過ぎてなりふり構わずって所があるのよね。あと、すれ違い、我が一族の習性なの?なんとかしてあげたいって本当に思うのよね!そう思ったとしても、大概どうにも出来ないんだけど。
『アンジェラの番、貴方はしばらく私から離れていなさい!』
骨となった飛龍の上で、腕まくりをしながら声をかけると、男は無言となって首を横に激しく振った。
下ではメス豚相手に消耗戦が繰り広げられているけれど、そろそろ三匹に体力的な問題が出て来ているはずよ。
『若い竜が相手に出来るようなものではないのよ!怪我をしたくなければ離れていなさい!』
無言で首を横に振り続ける男の精悍な顔を見上げると、男は不敵な笑みを浮かべながら威圧をかけだして、
「確かにまだ、竜化というものには挑戦していないけど、僕は妻だけ前線で働かせて、後ろでのうのうと休んでいるようなクズ男に成り下がった覚えはないんだよね?」
怖い顔となって言い出した。
アンジェラはまだ妻じゃないはずなんだけど、ああ、気持ち的にはもう妻なのね?
何の確証も無いのに滲み出る圧倒的な自信、絶対的強者のみが醸し出す抗えないほどのオーラ。
『それじゃあ勝手にしなさいよ!』
こういう男は嫌いじゃない、嫌いじゃ無いから、察した番が飛んでくる。
今ここで番に飛んでこられたら、全てがおじゃんになるのが目に見えている。
異界の龍絡みで転生するのはもう嫌なので、ここで全てを終わりにしたいのよ!
『私は貴方を一切気にしない!死んでも知らない!本当に気にしないから!自分なりに好き勝手やって!だけどやっぱり!死なないようにだけはして頂戴ね!』
意味不明な事を叫びながら、私は飛竜から飛び降りた。
傷ついた青の雌竜を庇い、赤い竜が雄叫びを上げる。銀の竜が異界の雌に食らいつき、浄化をかけながら飲み込もうとする。まさに死闘、身を削りながら戦い、それでも番を庇い、体が腐るのも構わずに死んだ番の復讐をする。こういう奴ら、嫌いじゃ無い。
嫌いじゃ無いんだけど、そういう事を考えているだけで番が飛んでくる。
無よ!エカテリーナ!無心!無心!
「エカテリーナ!お前!今更出て来てんじゃねえよ!このドブスが!」
「久しいな!雌豚野郎!」
「危ない!番の体なんだから大事にしてくれないと、心配で死にそうだよ!」
異界のブスの触手をアンジェラの番が切り裂いてくれた。
うん、ありがとう!前方に集中できるわ!
今世ではダニエラと呼ばれるこの雌豚は、前回はオリヴィエラと名乗って、メチャクチャな数の人間を殺して歩いていた。その悪行を私がやったみたいに吹聴しているのは知ってるぞ、マジで殺す。
「クソ豚のメスブス!」
「ブスにブス呼ばわりされるつもりはない!」
「異界の雌豚ブス野郎をブスと言って何が悪い!」
「てめえこそ腐ったドブスが!私の腹から出て来た時には半分溶けてただろう!この腐れクズブス野郎!」
なんで顔を合わせるとあの時のあの時代に戻ってしまうのだろう?
魂に刻まれた何かなのかしら?
後ろでアンジェラの番がドン引きした目で見ているわよ。
異界の雌豚野郎は、本当に、あの時も、その時も、こんな時も、腐れ果ててドロドロになっていた。長い年月を転生もせずに生き続けているから、供物とした人間の塊がこびりついて離れず、すごい数をひきいてエライことになっているのよね。
今さっきも、322体吸収!とか叫んでたし、馬鹿なのかしら、いや、やっぱり馬鹿なのよね。
「うるさい!うるさい!うるさい!私は馬鹿じゃない!絶対に馬鹿じゃない!」
ドロドロが雌豚の麗しい顔を包み込むと、蛇みたいに長い、異界の特徴そのものの長龍へと変化して、長い牙を剥きながら大きな口を開く。ぼこぼこ人の体の塊が浮き出て、ドロドロ動き回っているからキモい。
「キモいじゃないわよ!私は美しいのよ!絶世の美女なのよ!」
壊れた壁を飲み込みながらこちらに襲いかかるドブス蛇を飛んで避けると、
「今度はドブス蛇呼ばわり!殺す!」
凄い勢いで襲いかかってくる。どうやら思考を読まれているみたい、攻撃を避けるのが難しい。
「ウザい!本当にウザい!お前さえ居なければあの人は私の物だったんだ!死ね!まじで死ね!」
「ボコボコ死霊まみれの、異界の龍!粘着気質にも程がある、千年超えた夫のストーカー蛇ブス野郎!お前こそ死ね!」
最大級の攻撃を前に、私、エカテリーナは両手を掲げて天を仰いだ。
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