聖女と魔女 4
お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。
歌が気に障っている事には気が付いていた。
神聖語は異界の龍に関わる者にとって耳障りな雑音、不快な波動、体の根底から不具合を引き起こす障り以外の何物でもない。ナイフで襲いかかって来た時には驚いたけれど、そんな衝動に駆られてしまう理由も良くわかる。
エリアさんの双子の弟さんはエリアさんには全然似ていない。エリアさんの髪色が赤なら、弟さんの髪色は青で、エリアさんが男らしい顔立ちをしているのに対して、弟さんは柔和で中性的、女性っぽい顔立ちをした人だった。
何故か私に対して無茶苦茶憎悪を燃やしているように見えるけど、もしかしてあれかな?兄であるエリアさんの事を、毒を盛る(毒を盛って女体化にするってところが理解できないけれど)くらい憎いって事だから、隣に居るお前もついでに憎い!みたいな?
いやいや、初対面なんですけどね?
「アンジェラ、気分は悪くない?今、君、幽霊が見えている状態だろ?」
私以上の骨使いとなったエリアさんは、私を抱っこしながら頬ずりをやめない。
眼下では、三匹の竜がドロドロに包まれたダニエラさんにケチョンケチョンにやられているんだけど、そこは気にならない感じなの?
あの巨大な竜って私の父、貴方の父、貴方の母だと思うんだけどなぁ。
「幽霊はね、もう二度と見たくなかったんですけど、仕方がないですよ!」
ダニエラさんを逃がさないようにする為に、結界が三重にも四重にも重ねがけされている状態の中、私が先ほど先祖の霊を山ほど呼び寄せたので、霊子が濃くなりすぎて息をするのも苦しいくらい。
「322体!眷属を322体を吸収してもこのレベル!キャハハハハッ!よっわ〜!でも、対するお前らがこの程度だから丁度いいのか〜!」
キャハキャハ笑うダニエラさんが、漆黒の槍をこちらに飛ばして来た!
お披露目パーティーに参加された貴族全てを吸収しているんですものね、まさか、人数までこまめに数えているとは思いませんでした!
銀の竜がダニエラさんにかぶりつき、タールごと飲み込もうとしているけど、捨身すぎる!陛下が父を、口から吐き出した業火で包み込んだから乗っ取られずに済んだけど、かなり危なかったんじゃない?牙が何本か折れたり抜け落ちたりしているみたいだけど?
王妃様が冷気を吐き出してタールごと凍らせようとしているけど、途中、途中で氷の刃でダニエラの体を貫きまくっているけれど、凍った端から壊れて元に戻っていくから、先が見えない戦いすぎる!
七匹の王子と百匹の従兄弟で戦っても勝てなかったのに、三匹だけに任せるのは酷過ぎるんじゃないのかな?無理だよ!無理無理無理無理!
「エリーナ!エリーナ居るんでしょう!」
上空を旋回する骨の上から私は叫んだ。
「エリーナ居るんでしょう?・・・エカテリーナ!今すぐに来て!」
「エカテリーナって、聖女と戦った魔女、エカテリーナのこと?」
「うるさい!殿下は黙ってて!」
近衛が囲いを狭めている、周囲には国王軍も集まっている。
だけど、これ、人間にどうにか出来る話じゃないでしょう?
結界だっていつまで保つかわからない!
「エカテリーナ!」
『はいはいはいはいはいはい、今、あなたの目の前に来ていますよ?』
新緑の髪の毛を編み込んで結んだエカテリーナは、宙に浮かびながら、金色の瞳を私に向けた。
思わず、涙が頬をこぼれ落ちる。
だって、エカテリーナに会ったのは、母が殺されたあの時が最後だったから。
「エカエリーナ!あなたが私にくれた魔道具は全部持って来ているの!」
私は自分の胸元に手を突っ込み、異次元収納付きのずた袋を取り出しながら声を上げた。
「どれを使えばいい?どれを使えば効果があるの?早く倒さないと、絶対にまずい!絶対にまずい事になるのよ!」
『そんな事は十分に分かっているのよ』
過去、千年にわたってガチンコファイトを繰り返し続けてきた雌竜は、ため息混じりに言い出した。
『この時代だったら魔道具一つで世界をも征服する〜なんていう戯けた話も、そうだ!そうだ!みたいな感じで受け入れられるんだろうけれど、結局魔道具はどこまで行っても道具に過ぎず、あいつを倒すのに補佐程度の働きにしかしならないのよね』
「え?」
この袋の中に入っているものが全て、補佐程度の働きですと?
「持っていたらヤバいと言われた物まで持って来たのに?」
『無駄』
無駄の一言ですか、世知辛い。
『前にも言ったけど、これだけ魔法が衰えてしまっているのだから、初心に帰って原初の力に頼るより他に方法がないのよ』
エカテリーナは幽霊だから、クルクル目の前で回りながら言い出した。
『憑依させてくれるのなら、チャンスは与えられるかも?』
「憑依?」
それは私が一番大嫌いな奴よ?
ここまでお読み頂きありがとうございます!
今週末、だだっと更新します。最後までお付き合い頂ければ幸いです!
モチベーションの維持にも繋がります。
もし宜しければ、☆☆☆☆☆ いいね ブックマーク登録
よろしくお願いします!




