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竜の力  4

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

「うわああああああああああ!」

 オストラヴァ王国軍第一部隊を率いるバジリオは、腰を抜かしたように尻餅をつきながら驚きの声をあげて僕を見上げた。

「お・・お・・お化けー~―!」

「お化けじゃない」


 骨となった飛竜に乗ってパルマ公国の国境から帰ってきた僕が地面に降り立つと、純白の骨は崩れ落ちるようにして落下し、地面の中へと沈み込んでいく。


 アンジェラを抱き抱えた僕が近づいていくと、ようやく正気を取り戻した様子のバジリオは、熊みたいに厳つい顔を青ざめさせ、ブルブルと小刻みに震えながら、


「よ・・よう!エリアルディオ殿下!今までの巨乳も好きだったけど、元に戻ったようで安心したぜ!そ・・そ・・それで・・オカルト好きが高じてお化け使いになったとかそういう事か?じゃなけりゃあ、骨に乗って飛んで帰ってくるなんて事が出来るわけがねえだろ?」

と、問いかける。


「それに、そのお嬢ちゃんはなんなんだ?今まで女に興味の一つも持たなかった殿下が、ついにとち狂って誘拐した?いやいや、まさか、番を連れて来たとか言い出すんじゃあねえだろうなぁ?」

「番だよ、僕の番だ」


 愛しむように頬ずりしても、気を失ったままのアンジェラは目を覚さない。

 そもそも、彼女は覚醒の所為で、全ての力を使い果たしている。

 竜の鱗で出来た古代遺物は、彼女の視界を幽霊から遮断するものであったのは間違いない。ただ、遮断をする代わりに、とんでもない力を引き出したのだ。


「匂いでわかる、あんたらは番だ」

 先祖返りと言われるような強者であれば、魂の匂いを嗅いで番を判別する事が出来る。無用な争いを避けるための力であり、竜人の特性でもある。


「バジリオ、何か新しい情報は入っていないか?」

「ああ、新しい情報なら入ってるぜ。何でも山のような骨が聖都で蘇り、聖都に駐屯中のパルマ軍をぶち殺し、国境近くに集まったパルマ軍も潰走させてしまったらしい。流石に新月の夜に骨の軍団が現れれば、驚き怯え、慌てねえ者はいねえ。俺もお化けの軍団とだけはやりたくねえと部下の報告を聞いて思ったもんだぜ」


 バジリオはいつでも僕が帰ってきても良いように、僕専用の天幕を常に用意して待っている。僕の支配下にある王国軍は僕の言う事なら何でも聞くが、ここまで追いかけてきたバジリオの忠誠だけは誰よりも高い。


「向こうの戦死者やら負傷兵なんかも、それなりの数に登りそうだから、軍を立て直すにしても時間がかかるだろう。お化け軍団が作り出した時間を利用して、クシャダス帝国を迎え撃つための時間が出来たな」


「帝国の前に王都に攻め入る」

「帝国の?」

「王都ヴィアレッジョ」

「うちの国の王都かよ」


 簡易の寝台の上にアンジェラを寝かせ、掛布で包み込む。

 健やかな寝息をたて、顔色も悪くない。


「嬉しそうに頭なでなで・・・あのエリアルディオ殿下が?気持ち悪い!」

「バジリオ」

「ああ、俺ちゃんも番に会いたい、王都で待っている俺の番、自分だけ番を連れて歩いてずるい!俺だって連れて歩きたい!」

「バジリオ!」

「すみません」


 力ある竜は番を見つけやすい、ちなみにバジリオの番は王宮の厨房で働いていた女性だ。


「王都といえば、マルサラ辺境伯夫人が聖女の生まれ変わりだって言うんで大騒ぎになっているらしいね。何でも癒しの力っつうんですか?病なんかも治しちまうみたいだし、子供が出来なかったチェレスティーナ王子妃様なんかも、聖女のお陰で懐妊したんだってさ。最近、陛下の具合が悪かったんだけど、聖女のお陰で良くなったとか何とかで、それで近々、本物の聖女だって事で認定されて、王宮では披露目のパーティーをするとか何とか」


「父上の病が良くなった?ありえない!」

「そう、ありえないんだよな」


 表向き、父は病に伏しているという事にしているのだが、実は健康そのものなのだ。母上から離れて公務をするのが嫌すぎて、病を理由に宮殿に引っ込んでいるだけなのだ。


「大袈裟にささくれ一つで騒いだり、腰痛ひとつに大騒ぎしたり、ただ単に母上に心配されて撫でまわされたいだけのアホなのだが、今になったらよく分かる」

僕たちは番を見つけたら離れたくなくなる、離れている間に死なれたら発狂するほど後悔するのがわかっているから。


「殿下もようやっと俺たちの気持ちが分かってくれたわけだよね?」

 感動した様子でバジリオはうんうん頷くと言い出した。

「それじゃあ王都に帰るって事でいいんだよね?そしたら俺ちゃんも番であるレアにようやっと会える!もう王都から出かけるのはやめよう!番が大事!それが一番!」


「バジリオ、レアは今すぐ王都から逃がせ。聖女認定されるという辺境伯の後妻は異界の竜だ」

「は?異界の竜?」

「そうだ」

「番を見つけたら即殺すとかいう、あの物騒な?異界の力持ちの?あの?」

「そうだ」


 バジリオは顔を真っ青にして後ずさった。

 異界の雌竜は理由があって番を心の奥底から憎んでいる。カタンザーロのステンドガラスが語る通り、異界の雌竜は横恋慕した後に失恋をして、番の結びつきの強さに恨みと憎悪を抱いている。


「しかも、パヴィアナ山脈の龍が蘇るらしい」

「はい?」

「だから、パヴィアナ山脈の龍が」

「もう、聞きたくない。無事に呪いから解放されて戻ってきてくれてめちゃくちゃ嬉しいけど、もう、これ以上はお腹いっぱいだよ!」


 バジリオは逃げるようにして天幕から出て行った。

 今後の方針を決めるために、部下を呼びに行ったのだろう。



ここまでお読み頂きありがとうございます!

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