絶望の果てにある力 4
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僕の旅は、僕自身にかけられた呪いを解くための旅のはずだった。
呪いだなんて、最初は驚いたし、どうしたものかとパニックになったものだけど、お陰さまでしがらみから逃れられたというか、女戦士となった僕はとにかく自由というか、呪いが解けるまでは家業を手伝う必要もないし、なんなら国外に逃亡したって問題ないだろうと気楽に考えていたところがある。
生まれた時から世界は全て、灰色に染まり上がっていて、何もかもがつまらない。本当の本当につまらない。
そんな僕に対して、母上はいっつもこう言うんだ。
「覚醒前はそんなもんだろう」
ってさ。
なんでも覚醒すると世界が色鮮やかに見えるらしくって、本来なら成人とは年齢で祝うものではなく覚醒後に祝うものなんだって。つまり、覚醒する事によって本当に大人になったのだと認められる事になるみたい。
世界は相変わらず灰色だったけど、北方に位置するクシャダス帝国との戦いの時だけは別だったな。わずかに色付いて来た世界の変化を感じて、もうすぐ噂の覚醒が訪れるのか?と、期待に胸を膨らませたわけだけど、絶対の勝利を確信した帝国軍を大敗させ、退けさせた後にやって来たのは再びの灰色の世界。
家に帰って思ったよね、ああ、これは一生覚醒なんか出来ないのかもって。
この世界は本当につまらないけれど、何もかもに興味が持てないというわけではなかった。歴史ある場所には様々な逸話が残っているし、そこの狭間に隠れた人の情念だとか怨念だとか、それが変じて悪霊だとか幽霊だとかになれば、ワクワクドキドキが止まらない。
僕が見るモノクロームの世界では、幽霊、怨霊、悪霊は辛みが効いたスパイスとなる。
自分にかけられた呪いもあるし、ここはどっぷりとオカルトの世界に没頭しても何の問題もないだろうと考えたのは、巡礼よもやま話をぼんやりと読んでいる時の事だった。そこで女戦士として巡礼に加わって、呪いを解く方法を探していると見せかけて、オカルトに特化した聖地巡礼をやってやろうと決意したわけだ。
そんな中、巡礼中のアンジェラとの出会いは僕にとって花火みたいな出来事だった。
幽霊と話す姿も、幽霊を降霊させる姿も、最高にエキサイティングだったのは間違いない。更に彼女は、リエンツォ商会の跡取り息子にかけられた呪いまで消滅させてしまったのだ。
こうなったら、僕が何処までも彼女と一緒に行動を共にしたとしても『呪いから解放されるのに必要な処置だった』と胸を張って主張できる。素晴らしい事じゃないか。
彼女と一緒の旅は最高に刺激的で、僕はいつだってワクワクドキドキが止まらない。古代遺物のずた袋の中から6本の竜の牙で作った剣を取り出した時には、肌に泡がたったよ。最高だ!君は本当に最高すぎる!無茶苦茶面白すぎるよ!
君が僕の番だと判明した時から、僕は君の下僕だ。絶対に僕は君には勝てない。
君に触れたその瞬間から、山のような幽霊やら悪霊やら霊体やらが見えたその時から、僕の世界は鮮やかな色合いとなって美しく染まり上がった。
一部は血塗れ血みどろな所もあったけど、全然構わない、無茶苦茶面白いもの。
君が聖都ロンバルディアで幽霊が見えなくなる古代遺物を発掘すると言うのなら、どれだけパルマ軍が押し寄せて来ようが君のために発掘するし、君が新大陸に行くと言うのなら、喜んで君に付いていこう。
ただし、アルバリオ湾から出発する前に、アバッティーニ侯爵家の息子とマルサラ辺境伯は締め殺してしまおう。よくわからない後妻として潜り込んだ聖女もどきの親子は八つ裂きにして広場にでも飾ろう。
君を裏切った領民どもも、全てを集めて君の前に跪かせ、額を地面にこすりつけ、詫びの言葉を吐き出させながら踏み潰してやってもいい。
そうして君の亡くなった母君の亡骸を探し出して、立派な墓に埋葬しよう。歴代のどの領主よりも立派な墓を作って母君の冥福を祈れば、母を愛した君はきっと、次の一歩を踏み出す事ができる。
やってやれない事はない、全てをやり終えた後に二人で新しい場所へと移動しよう。君さえいれば僕は何もいらないのだから、君が例え死んだとしても、僕は死の世界まで君を追い愛し続けていくのだから。
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