第七話「非日常の暮らし」
「野外活動が来週からはじまるから、みんな準備しといてねー!」
「ええー」
クラスの皆の声が教室に響く。
すると、桜に隣に座る三琴がこっそりと聞いてきた。
「野外活動ってなに?」
「え……? 知らないの?」
桜は言葉にしてから気づいた。
(そっか、何十年も何百年も眠ってたってことは、この時代のこと知らないのか……)
「野外活動っていうのはね、自然が豊かな場所でみんなで生活するの。うちの学校では毎年自然の家っていうところに行って、キャンプとかカレー作ったりするの」
「きゃんぷ……?」
「あ、そっか……キャンプもわからないか……えっとね……」
桜が詳しく説明しようとした時、担任の遠坂が言った。
「ほら、一ノ宮! 許嫁様と一緒だからって朝からイチャイチャしないでね~」
遠坂のこの言葉に、クラスはわっと盛り上がる。
そして逆に、桜は委縮した。
その姿を三琴はじっと見つめていた。
野外活動、初日──
自然の家までの往復の貸し切りバスは、席順で座ることになった。
つまり、桜と三琴が並んで座ることとなっていた。
「いい? 昨日までにざっと教えたけど、たぶん三琴くんが前に住んでた時代と違うことも多いと思う。もし困ったことあったら聞いて?」
「わかった、ありがとう」
三琴は微笑むと桜の頬をなでる。
「せんせーい! 一ノ宮さんと橘くんが不純異性交遊していますー!!」
「え、ちょっ、違う! 違うから!」
「え? 桜は僕の許嫁が嫌なの?」
「いや、そういうことでは……」
バスはにぎやかに自然の家へと進んでいく。
「ふふ……町から離れた森ならはぐれやすい……娘をさらって尭鬼様のところへ連れていく」
鬼の青年が桜のことを虎視眈々と狙っていた。
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