第十三話「初めてのキス」
弓を飛ばされ、攻撃手段がなくなった桜。
せめて三琴だけでもと、三琴をかばうように桜は覆いかぶさる。
鬼の攻撃が迫る中で、桜は目をつぶってその時を待った。
(三琴……!)
すると、その瞬間鬼の手を刀が切り裂いた。
桜が目を開けるとそこには目覚めた三琴がいる。
「三琴!」
しかし、鬼はすぐさま手を再生して元に戻る。
三琴は意識を手放していた間の出来事を推察する。
遠くにある弓と修復しない鬼の目の様子を見て、桜の霊力によって攻撃が通ると考えた。
「桜」
「なに?」
「俺の事どう思ってる?」
「いきなりなに?!」
鬼の手が再度二人を攻撃しにかかる。
三琴はその攻撃を避けるべく、桜を抱えて宙を舞う。
「僕は桜が好き。守りたい。桜は?」
「え?」
「桜は?」
そう聞かれて桜は自分の気持ちを考えた。
いつも強引な三琴。最悪のファーストキスから始まった恋はいつしか二人の距離を縮めていた。
(私は……三琴のこと……)
リードしてくれる三琴。
優しく手を引いて助けてくれる。
そんな優しさと強さにいつしか『惹かれてた』。
(私は……三琴が好きになってた……)
「私は……」
「え?」
「私は、三琴が好き!」
「──っ!」
「なんだかわからないけど好きなの! どうしていいかわからない、どう表現していいかわからない、だから……」
桜は思い切って三琴の唇に自らの唇を当てる。
「私には、これしか方法が思いつかない……受け取ってもらえる?」
三琴は地上に降り立ち、桜を降ろした。
そして、桜の髪をなでて、愛しそうな目で見つめる。
「ありがとう。伝わったよ。それに、今ので君の霊力が僕に流れ込んできた。だから……」
二人に迫る鬼の手。
それを三琴の刀が一刀両断する。
「ぐわあああああー!!!」
先ほど修復した腕はもう桜の霊力に充てられ、戻らなかった。
「僕と桜の力、思い知るといい」
そう言うと、三琴は一気に空へと飛びあがり、鬼を真っ二つにする。
「ばかなっ!」
三琴の意識を飛ばした鬼の妖術が解け、空間の歪みが解消される。
「くそ、この仮がいつか必ず……」
その言葉を最後に、二人の前から姿を消した。
「桜!」
「三琴?!」
闘いが終わり、桜に抱き着く三琴。
「桜、大好きだよ」
「三琴……うん……私も……」
ゆっくりと夕焼けの中で二人の影が重なった──
いつも読んでいただきましてありがとうございます<m(__)m>
この文章の下↓↓↓のほうにこの作品を評価するボタンがあります。
見えづらいですが、、、
また評価に加え、感想やレビュー(推薦文)も書いていただいて問題ございません!
大歓迎です!