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第十一話「入部は慎重に」

「三琴を弓道部に入部させる?!!」


 玲奈が桜の机に両手を置き、前のめりに話す。


「そう! だって、あの美貌だよ?! 女子入部も増えるし!」


「でも三琴がなんて言うかわからないんじゃない?」


「そこは……」



 桜は玲奈に耳打ちする。


「えー……そんなんで来るとは思えないよ?」


「やってみなきゃ、わからないでしょ! じゃあ、私遠坂先生に呼ばれてるからよろしく!」


「あっ! ちょっと玲奈!!」


 教室を去った玲奈の後を見つめる。


(今日、帰りに言うか……)


 桜は机に突っ伏した。






「三琴~!」


「ん?」


 夕暮れに、学校の傍にある池の前のベンチで落ち合う二人。

 三琴は毎日桜の部活が終わるのを待って、共に帰宅していた。


「あのさ、弓道部に体験入部してみない?」


「弓道部に……?」


「そう、あの……」


 桜が言いにくそうな様子で目を伏せる。

 そして、意を決し、桜は上目遣いをしながら三琴に言った。


「お願い……。一人じゃ寂しくて……。三琴と一緒にいたい……」


(こんなのでうまくいくわけ……)


「いいよ、体験入部するよ」


(うまくいった!!!!」


「ただし……」



 続いた言葉に疑問を抱く桜。

 すると、そのまま三琴は桜の腕をつかみ、顔を近づけた。


「その上目遣いを誰に教わったのか、聞かせてくれたらね」


 にやりとした表情で三琴は桜を見つめながら、頬に手を添える。


「──っ!」


「さ、誰に教えてもらったのか、言ってごらん?」


「そ、それは…………」


 桜の後ろには花壇があり、身動きがとれない。

 降参して、玲奈からの口添えだったことを言う桜だった。





 ──体験入部の日。


「なに? あのかっこいい人……」


「え、やばくない? 部員?」


 弓道場の外で、三琴の姿をみた女子生徒が黄色い声をあげる。


「ふふふ……、狙い通り!!」


「玲奈、思いが口から洩れてるよ」


 準備をする桜が、三琴の容姿に誘われて弓道部をを見学する生徒を眺める玲奈に言う。


「あ、じゃあ、あと、桜が三琴に教えてね」


「え? 遠坂先生じゃないの?」


「『許嫁様』でしょう?! 教えるのは桜に決まってるじゃない!」


「わかったー」


(うまく教えられるかな……)


 桜は袴に着替えた三琴に声をかける。


「似合ってるね」


「この服装のほうが逆に落ち着くよ」


「あ、そっか。じゃあ、教えていくね? まず、こうして弓をしぼって……」


「──っ!」


 桜の構えに三琴が目を見開く。


「どうしたの?」


「……。いや、なんでもないよ」


(どうしたんだろう……)


 三琴は、その後もどこか上の空だった。







 体験入部を終えた三琴は、先にいつもの池の前に来ていた。


(桜……なんで……)


 真剣な表情で池に映る自分を眺めながら、体験入部の時の桜の姿を思い出していた。


(一瞬……巫女服の女が重なった……)


 池に映る三琴の姿を、アメンボが消し去る。


(巫女の女が弓で戦う姿……あれは一体……)

いつも読んでいただきましてありがとうございます<m(__)m>



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見えづらいですが、、、


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