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緋色の独白

私は駄目なんです。

色々な人に駄目ね駄目ねと言われて生きてきました。

はじめは正直で良い子と言われていたのですが、歳をとるにつれて空気が読めない、嘘がつけないと言われるようになってしまったのです。

紅ちゃんにはじめて言われて気付きましたが、私は疑うという行為がどうにも出来ないそうなのです。

疑うという行為はなんだか、人がやってはいけないような気がするんです。

私が困ったかおして黙っていると、紅ちゃんはイヴみたいだねと一言言って、知らん顔して何処かに行ってしまいました。

イヴ。イヴとは、誰の事なんでしょうか?

彼女は沢山本を読むから、私の知らない事を沢山知っています。

私は、彼女を尊敬しています。


気付いたら、彼女は私の少し困った友達、香奈子に話しかけていました。

香奈子は、困っていました。焦っているように見えました。

話の内容はわかりませんでしたが、紅ちゃんの顔を見るに、きっと楽しい事だったのでしょう。

香奈子は、人見知りですから…。


そう思っていたんです。


彼女が香奈子を好きと言いました。恋をしている人を応援するのは友人として当然です。

私はそう言いました。

ありがとう。

紅ちゃんは、ぽつりと、ですが頰を赤らめて言いました。

私は、ほんとに成就を祈りました。


私は、あの日、どうしたら良かったのでしょう?

香奈子は転校しました。

紅ちゃんは電話ではわからなかったけれど、恋してた相手です、きっと泣いていたんでしょう。

私は、知っていたんです。

香奈子に口止めをされていて、言えませんでした。

いくら謝っても足りない、ごめんなさい。

でも、言えませんでした。

香奈子に、紅ちゃんと何があったのか、次に会えたら聞こうと思いました。






私は、駄目なんです。

彼女は私に助けを求めてたのかもしれないと、今更思うんです。

私は、疑うという行為が出来ません。

きっと生まれつきなんです。

彼女の強気な、トゲトゲした言葉の裏を、疑うべきでした。

でも、今更気付いても、もう遅いんです。

いくら後悔しても。

私は駄目なんです。

未だに、疑う事が出来ないんです。

彼女がもしかして、自殺だったのかも知れないなんて…。

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