真紅の独白
初めて人の名前とか考えて物語風にしました…
(心拍数上昇)
暇つぶしにでもなれたなら、幸いです。
代田香奈子、シロちゃんが死んだ。
皆知らなかった。知ったとしても、大して反応はなかったと思うけれど。
シロちゃんと私の数少ない共通の友人、モモから涙ながらの電話で聞いて私も初めて知った。
「電話なんて何?どうしたの」
電話に出た瞬間嗚咽と洟をかむ音が非常にうるさく、思わず眉を顰めた。
モモはぐしぐしやりながらやっとのことでシロちゃんの件を話した。
どうやら事故だったらしい。シロちゃんを轢く4分前にトラックの運転手がスマホをいじっていたのがコンビニの監視カメラに写っていたのだという。
私は意外に思った。
シロちゃんは転校する前から死にたい死にたいと言っていた。手首には傷があったし、保健室でよく泣いていた。
てっきり自殺かと思った。いや、きっと彼女は長く生きるだろうと考えていた。でも、彼女と死を結ぶイメージは、自殺だった。
「ほら、あんたかなの事…好き、だったじゃん?だから…」
一番最後にモモはそう言った。相変わらず嗚咽混じりだったが、そこだけ嫌にはっきりと聞こえた。
好き。
ライクではない。ラブの意味。
私はシロちゃんが好きだった。愛してた。
でも、終わったのだ。いや、終わった事にしたのだ。
彼女が突然転校した日に。
最初は具合が悪いのかと思った。
私が転校したのを知ったのは、彼女が消えてから3日後だった。
転校の事を教えてくれたのも、そういえばモモだった。
モモは、偏見がなくて、私を応援してくれた。
その時もモモは泣いていた。
好きだった。愛していた。
何処が好きなのかモモに聞かれた時、私は弱いとこと言った。
死にたい、彼女がそう言うのは、弱いからだと思った。世間から見放され、捨てられたように見えた。
私は、泣く彼女を見て、縋られたいと思った。依存してくれれば…そう思った。
人を愛する自分を愛してる…そんな事、わかりきっていた。初めから。
だから、何とも思わなかった。
彼女は私の優しさから逃げた。それだけ。
彼女は愛されたいと願い、そして逃げたのだ。
転校してから3日目、私は彼女に
「どうしたの?」
と聞いた。わかりきっている。だが、他に何と言えば良いのかわからなかった。
数分後、返信は来た。
「転校したの。最後だから言うけどベニの事、私嫌いだから言いたくなかったの。さようなら。もう会わないよ」
私は微笑んで返信した。
「知っていたよ。私は貴女を愛してた。何の力にもなれなくて、ごめんね。また、逢えるといいな」
彼女は私の愛から逃げた。それだけ。
私は彼女を愛す私を愛してた。それだけ。
彼女は、死にたくなくて、死にたいって口にして誰かに止めて欲しかった。それだけ。
私は、彼女に死んで欲しかった。それを知っていたから。
それだけ。
真紅の花びら、貴女は嫌いかしら。
でも、受け取ってね?
散る花びらのように、憂鬱は積もっていく。