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ボールペンで人が殺せるって知ってたか?

見るな、何も知るな、それに関わるな。

プロローグ

幻影闘技都市、フロンティア。世界の注目の的であり、富裕層の娯楽であり、富や名誉を求める物の理想郷(アヴァロン)であった。この場所に選ばれ、弱肉強食の世界を望んだ猛き老若男女が喧騒の中を生きている。

この街、フロンティアでは「強さ」が正義である。強き者は、富に近づき王となる。弱き者は虐げられ、奴隷となる。

この物語はそんな街で暮らしている少年の話。


1章

Do you know that you can kill people with a Kugelschreiber?


俺の名前は旧道(きゅうどう) 遊斗(ゆうと)。今年からフロンティアの学校に通ってる高校1年生。特技はちょっとした手芸とシューティングゲーム。

本当にそれくらいの取り柄しかないようなただの学生だ。ちなみにフロンティアランクは4B、このフロンティアランクっていうのは───

やっべぇ!もう遅刻しそうだ!急いで行かないと!


この街はフロンティア。強さで全てが決める町。そんな街での話題というのは誰が強いだとか、誰の戦いが好きだとかそういったものだ。そんな話題の中で最近一際ホットなのが彼、旧道の獲物についてだ。

幻影闘技都市、と名前の通り幻影ではあるが武器、魔法などといったもの、例えば剣であったり、炎を撃ちだす能力であったり。人それぞれだ。

個人の才能に1番合った武器、能力がAIによって判断され、それがフロンティアでの自分を守る術になり、金を稼ぐ道具になり、唯一信じられる相棒となる。それだけ大事なものだからこそ、旧道は話題になったのだ。彼の武器は──


旧道は、まだ歩き慣れていない大通りをひたすら走る。

「やべぇ、遅刻したら反省文だっ、急がねぇと!」

しかし現実は非常なり。それは信号機ッ!

「おい、マジかよ…今日に限って信号に引っかかるとはついてねぇな……」

旧道が信号で待っていると制服の色が違う見たことの無い学生に後ろから話しかけられた。

「おい、お前ぇ!ペンで戦っているっていう旧道だな!?俺と勝負しやがれ!」


フロンティアにはルールがある。

その中でも有名なものは3つ

1.フロンティア内の幻影闘技における暴力行為は法律に抵触しない

2.フロンティア内での幻影闘技における勝敗成績を改ざん、また八百長などにより不当にランクを上げないこと

そして3、自分よりランクが低いものからの挑戦を受けた場合その挑戦を受けなければならない。(一日一戦まで)


その学生は続けて言う。

「お前のランクは4Bだろ!?俺は1Cだ!俺からの挑戦、受けてもらうぞ!」


ランクはフロンティアへの入居試験で決まる。最低はD4。C、B、A、と上がっていき最高ランクはS1だ。その上にチャンピオン、帝、賞金首などいろいろと例外的なランクもあるが基本的にはD~Sの5段階だ。


旧道は学生に言葉を返す。

「お?良かった、遅刻しそうで困ってたんだよ、お陰様で公欠扱いになりそうだ。

それじゃあ、はじめるぞ?」


「「戦闘開始(バトル・スタート)」」

戦いの火蓋が切られた。

「知ってると思うが俺の名前は旧道。お前は?」

「俺は川島だ。獲物はショートソードだぜ。自己紹介は終わりだ、それじゃあ、こっちから行かせてもらうぞっ!オラっ!」

鋭く研がれた刃が旧道の首元に振りかざされる。

「そうか、じゃあ川島。お前……ボールペンで人が殺せるって知ってる?」

旧道が胸ポケットから取り出したのは何の変哲もないボールペン、ノックすれば芯が出て、文字を書くことが出来る。

旧道はボールペンをショートソードの鍔にかけ太刀筋を逸らし、蹴りを入れて川島から距離を取った。

「旧道、お前の獲物がペンだっていうのは本当だったのか!こりゃ笑いものだぜ!」

「そうかよ、勝手に笑ってろ、クソッタレ!」旧道はボールペンをノックし、芯を出しながら川島へと近づいて行った。

「そんなちゃちなペン1本で剣に向かっていこうって言うのか?面白すぎて腹筋が割れちまうぜ」

川島は近づいてくる旧道に向かって先のように太刀筋をそらされることのないように縦ではなく袈裟斬りのような形で斬りかかった──が。旧道は視界から消えた。

正確には後ろに回り込んでいた。

「なぁ、頸動脈の所を一突きすれば、人は死ぬんだぜ。」旧道は川島の首元にボールペンを突き立てた。

「「戦闘終了」」

「はい、俺の勝ちね。」旧道は得意気にペンを回しながら身だしなみを整える。

「クソっ、まさかボールペンに負けちまうとは……テメェ、覚えとけよ……」

というと川島は人の波に消えていった。

「ペンは剣よりも強しってな。」

そんなくだらないことを言いながら旧道は

学校へ足を向けた。


都立フロンティア東高校。それが俺の通っている学校だ。勉学はもちろんのこと獲物や能力に合わせた座学、戦闘訓練も行っている。今日はその戦闘訓練の日なのだ。


「おい、旧道。訓練の日に遅刻は……まずいよ。」

旧道に遅刻を告げる教師の名前は古井。少し白髪混じりの年老いた教師だ。

「 すいません、格下から挑戦を受けてしまって……」

この街では幻影闘技が第1優先。学校を遅れようとなんの問題もない。旧道は古井に事情を説明して教室に向かった。

またいつか。

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