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君がそばにいるように  作者: 涼
日常
3/5

2.


「…お。……あお、……碧」



「ん~~……?」

誰かに呼ばれている気がして、目を覚ました碧。

天井が見えたので、どうやら碧は、腰かけていたのに寝転がって寝てしまったらしい。


(夢の中で思い出してた……)




「碧。またこんな所で寝て……風邪引くって言ってるだろ?」

いきなり、天井ではなく沖田の顔が間近に映った。



「でも、眠いぃー……」



「今は師走。こんなことしてると、いつか凍え死ぬよ」



「うん……」

(最近寒くて寝れてないから……眠い)



またその場で小さくくるまって寝ようとしている碧を見て、

沖田は思わずため息をついてしまった。


「碧。最近寝れてない?」


「ううん。全然。いつも通り」



「そう……」

(目の下に隈ができてるのに。俺が気づかないとでも?)

相変わらず強がりな碧を、沖田はその逞しい両腕で抱き上げた。



「わっ!?沖田っ!?!?」


「しーっ……」



沖田は、もう真夜中だというのに大きな声で騒ぐ碧の口を手で塞ぎ、問答無用で碧を連行させた。


(おっ、沖田っ!?)



沖田が食客部屋から真反対の方向に歩き出したので、碧は自分の部屋に連れて行ってくれるのだと気づき、じっとすることにする。


碧の部屋は、女ということもあって、門下生が雑魚寝する食客部屋とは別に用意されているのだ。




「到着」

そんな優しい声と共に、敷いてあった自分の布団に降ろされた。


沖田が出ていく気配がないことに気付いた碧は、思わず、

「一緒に寝てくれるの!?」

と、目を輝かせて言った。



「ああ。……ここ最近の夜は冷えるから」

そう喋りながら、慣れたように沖田は碧の隣へ寝転がる。



(子供のころから沖田は温かくて。異常に体温が低く冷えやすい碧を、よく温めてくれてたなぁ)

そんな昔のことを思い出した碧は、早くその温もりが欲しくなり沖田にくっついた。



「沖田……やっぱ、温かい」



「やっぱり、碧は冷たいな」

そう言って頭を撫でてくる沖田を、碧は若干不服そうに見上げたが、

障子の隙間から入る風に降参し、沖田の厚い胸にすり寄ることにする。




「おやすみ。沖田」



「おやすみ、碧」

(まったく。……17にもなって、男と一緒にあっさり寝てしまうとは……)






碧は、沖田がいるだけで温かくなれる。


沖田が発する言葉まで、お日様のように温かく感じてしまうほどなのだった。

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