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不幸たる才  作者: 臥龍
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04

「いや、これは逆に好機というものでしょう。大きなイノシシが自ら縄にかかりにくるのです。これを見逃すわけにも行かないでしょう」


「さすが雷飛殿、何か考えがおありのようだ」


典勝が言った。


「ええ、数を見れば4000対1万、圧倒的に不利です。しかし、この城は守るに易く、攻めるに難い城です。簡単には落ちません。ですので、賊は長期戦を覚悟するか、他の所に移るかのどちらかです。今の賊の情勢や戦い方を見れば後者は考えづらいです。よって長期戦を望むはず。長期戦となれば、まず困るのは兵糧です。よって賊は近くに兵糧の保管庫を確保するはずです。恐らく、ここから15里ほど先にある城をおそうかと。方角的にも少し進路を変えるだけですので」


雷飛はふぅと呼吸を入れた。


「…いや、すばらしい。さすが雷飛だな」


「では、雷飛殿はその城が占領されたときに攻め込めばよいと言うことであるか?」


典勝は雷飛の考えを読んで言った。


「いえ、それでは賊の方が有利になってしまいます。賊がこの城の前に布陣したときにその城を攻めればよろしいでしょう」


「ならば、この城は如何にして守るか?」


「城門を閉じ、何事があっても打って出ないことに限ります。城攻めの部隊が戻ってくる際に挟撃しても遅くはありません」


部屋全体がシーンと静まりかえった。


皆、雷飛の知識に感服したのだ。


「では、雷飛。汝にこの戦の指揮を任せる。わしが密かに編成した騎馬隊2000を汝に与える」


「ありがたき幸せです」


この会議の翌日、雷飛は軍の編成に当たり、それぞれ籠城する部隊と城攻めをする部隊、そしてもう一つの部隊を編成した。


その部隊は、将軍を周介、副将を周達とし、李統が雷飛に与えられた2000人を率いる。


この部隊の用途は、周介と周達にしか知らされていなかった。


編成を終わらせた雷飛は、兵の動きを各武将に知らせ、自分の家に戻った。


そして、いつもの格好に戻り、普段やっている畑仕事を始めた。


ある日、李統の言葉を伝えるため、周達が雷飛の家に来た。


「雷飛殿、戦も近いと言うに何ゆえ畑仕事を?それがしには理解できぬが」


「敵に総大将を知らせないためです。それに、いま栽培しているカブは成長が早いので兵糧にするにはうってつけの野菜なのです」


「流石です。その知識も書に記してあった事柄であるか?」


「いえ、これは隣の農民から教えてもらったことです」


周達は感心した。


役に立つ知識は何からも取り入れるという姿勢は見習うべき事だと周達は思った。


「そう言えば李統様からの伝言を授かっております。雷飛が言ったとおり、賊にあの城を制圧された。とのことです」


「わかりました。周達さん、出発の準備はできておりますか?」


何時なんどきでも出発できます」


「では、出発願います」


「御意」


周達は城に向かって走っていった。


雷飛は伸びを一回すると、畑仕事に戻った。


「おや?」


ふと、道の方をみると、楊麗が散歩をしていた。


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