03
いつも会議を行っている部屋に行くと、皆、雷飛を待っているようだった。
「遅れて申し訳ありません」
雷飛は自分がいつも座っている席に着いた。
「雷飛がついたところで軍議を始める。皆も聞いておると思うが、近々黄巾賊がここにくるかもしれないとの情報を隣の孫獲殿から頂いた」
部屋がざわめいた。
「だが、安心してくれ。孫獲殿が援軍2000騎を送ってくださった。将軍は猛将といわれた劉帯殿だ」
席から一人立ち上がり、一礼した。
歳は40歳位でいかにも歴戦の勇士という威厳がある。
「副将は典勝殿だ」
こちらは猛将というより、知勇兼ね備えた武将という感じだ。
「劉帯殿、典勝殿。我々の事も紹介しよう」
李統は自分の家臣を紹介しだした。
周介、周達から、文官が紹介され雷飛の番となった。
「こちらは我が軍の軍師、雷飛殿だ」
雷飛は席から立ち上がり、一礼した。
劉帯と典勝は驚いていた。
「李統殿、あのお若いのが軍師殿でありますか?」
「ええ、歳18でありますが、5歳の頃より書を読み、12歳で城中の書をすべて読破した豪傑でございます」
「ほぅ。では試してみますかな」
と、典勝は言った。
「雷飛殿、我々はそなたのようなお若い軍師殿は初めてだ。そなたを疑っておる訳ではないが、一つ、試させてもらいますぞ」
「ええ、かまいません」
正直、雷飛には自信があった。
何度もこんなことがあったからである。
自分の知識を出せる場の一つであるので、緊張どころか早く問題を出してくれと思っているほどだった。
「では、行きますぞ」
典勝は兵法の基礎から応用、政治の事やその他無理難題を出したが、雷飛の知識と頭脳の回転の速さを見せつけられただけだった。
すべてが終わると典勝は雷飛の前にひざまづいた。
「貴殿のような才人、それがしは見たときがありません。先ほどの無礼をお許しください」
雷飛はあわてて典勝の元へと駆け寄った。
「頭を上げてください。私とてまだまだ未熟、そんな大それた者ではありません」
雷飛は尊敬されるのは嫌いではないのだが、誇りたくは無い。
そんな性格が彼をこうさせたのだ。
劉帯も自分の才を誇らない雷飛を密かに感服した。
「では、軍議を進める。まず、黄巾賊の勢力を教えてくれ」
「はっ」
典勝が立ち上がった。
「賊の勢力は1万。将軍は張宝です」
再び部屋がざわめく。
「雷飛。どう見る?わしには圧倒的に不利としか見れんが」
李統は雷飛に質問した。
雷飛はゆっくりと答え始めた。




