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約束の大地
初めてこの世界線に来た時、そこは草原ではなかった。
生き物がいるような、世界ではなかった。
目の前に広がる大きな石板、空を覆う黒龍。
そして、神ではない者たち……。
招かれた転生者。
「この世界について、知る必要があるな……。」
石板をよじ登る。
空よりも高く、何よりも大きい。
そして、待ち構えるは黒龍。
13の言葉……、神々は何をはめ込んだのか。
それを、見なくては。
雷雨吹き荒れる中、龍と化した右手を壁に打ち込む。
体は宙に浮くが、これで登れる。
右手からは瘴気が溢れ出す。
『どうやら、向こうも気づいたらしい。』
塔を上る転生者。
そして、らせん状に巻きつくように、追いすがる龍。
「ここからが、戦いか……。」
そうだ。
いままでは、戦いにすらなっていなかった。
あまりに強大な黒龍。
しかし、俺は得た。
加護を、世界線を。
『……聞こえますか?』
女神を。