異世界言語
「(いったい何の国なのだろうか……。)」
街に歩いていくと、そこは文字通りの異世界であった。
町並みは中世のヨーロッパのようで、武器を携帯している人もいた。
「(ふーん、どんな国かと思ったけど、みんな笑顔で楽しそうじゃん。治安は安定しているのかな?)」
「(どうやらそのようですね。この国の支配層の王が、民のために政治を行っているようなので。この前は新たな水路を街に引いたとか。)」
「(さて、希さん、この世界線での会話はそろそろ限界です。この世界の概念悪のせん滅と世界線の回収をお願いしますよ。)」
「(確かに、移動に時間もかかったしこんなもんか。次の世界線で会えるまでお別れか。)」
「(はい……それでは……頼みますよ……。)」
それ以降は頭の中で女神を呼んでも応じなかった。
ここからは本当に異世界で一人だ。
……孤独だ。
そしてある事にきづいた。
異世界の言語をどうするかだ。
思考をめぐらす必要がある。
なぜなら、女神の説明はよくわからなかったからだ。
概念悪、世界線、そして異世界の言語。
問題はいろいろある。
しかし、今回は突破口があるかもしれない。
そう、それは転生前に僕が思ったことだ。
『まるでゲームだな……。』
そう、この異世界線は生前の世界でのゲームのようだ。
つまり自分自身もゲームに登場するキャラクターなのではないか?
ということは、この肉体は生前を模して造られたのだから13歳のはずだ。
12年前までのことは、この世界ではどのように扱われるのか……?
女神も言っていたことを反すうする。
『この世界線を作った神が物好きだったようです。『ステータスオープン』と念じれば、あなたの状態を教えてくれるそうです。』
さて、ゲームのような世界を作るとき、言葉を話すことを設定で明文化する必要があるだろうか?
つまり、僕はすでにこの世界の言葉を知っているのではないだろうか。
「(考えていてもしょうがない、覚悟を決めろ。言語をどうするか、調べるんだ。)」
深呼吸をし、目を見開く。
「(ステータスオープン!)」