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理想世界線 合桜色・藍葉(ジンおうしょく・あいは)
『希さん……、あなたは……。』
儚く散り、空間は他の世界へと宿る。
理想世界線。
『理想の姿……、その先へと、あなたは行くのですね……。』
そっと笑みを。
『少し寂しいですが、あなたの未来が良きものでありますように。』
ここで祈りを。
「さて、こいつの『存在』をお前に移すわけだが……。」
「何か問題があるのか?」
「ああ、最悪、お前らだけでなく、俺も死ぬ。」
「つまり?」
「俺、希、異都望、全員が死ぬ。というより、消滅する。」
「えぇ……。」
「いいか、手順はこうだ。」
影の力、それを解放すれば、存在の裏側に入り込めるらしい。
そこで、俺の本来の影と、異なる都の影を裏でむずびつけることによって、互いの存在が一つになる。
しかし、互いの影をつなげる『影』が影響しあい、三者どれでもない人格になる可能性がある。
「誰でもない、ナニかを生み出すかもしれない。」
「……。」
「やるか?」
回答は決まってる。
「やる。世界線の力も戻ってきている。」
時を止め、理想をこめて、別存在。
いつかはたどる、君のおもいを。