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異なる自我

覚悟を決めろ。


『……間合いだ、来るぞ。』


もとより一度死んだ身。


『逆流捻転の世界線を使ってくるぞッ!!』


相手は異都望じぶん

目の前で自分ヤツは、分身が見えるほどの速度で動いた。

そして、一瞬にして三度(みたび)、攻撃を受けた。

こめかみ、脇腹、足払い。

あまりの速度に相手の姿が見えない。


「……人間の、動きじゃない……かはっ。」


頭蓋にひびでも入ったのか、意識が揺らぐ。

脳震盪か?

相手の姿を見ようにも、どこにも見えない。

速すぎて、追いすがることすらできない。


『……この速度、ついていけるのか?!』


影よ、待て。


「……ああ、こちらも世界線を使う。」



右手が光りだす。

龍と化したソレは、輝き、収められた世界線を呼び起こす。

払われた足、落下しだす頭蓋、それらが止まる、ゆっくりと。

それらの動きが次第に鈍く、遅く、ついには止まってしまう。


『時間が……、止まった?!』

「ああ。」


しかし、予想外の光景が広がっていた。


異都望いとのぞみは目で追える速度ではあるが、動いていた。

そう、動いていたのだ、時が止まった、この空間なかで。

時を止める世界線はこちらが保持しているはずだ。


『何か見落としていることがある、はずだ。』


目下の疑問については影が答える。

なるほど。

確かに俺はアイツのことをよく知らない。

なんせ別の世界からきた存在だ。


何とか相手の体術をさばく。

いける。

動きについていくことができる。


しかし、それでもこのままではいずれ力尽きるだろう。

こちらも仕掛けなくては。


「……しかし、この状態で右手で攻撃していけると思うか??」

『さあな。ただ、世界線を拾われたら、こちらは打つ手がなくなるぞ。』


確かにそうだ。

世界線を奪われれば、目にもとまらぬ動きで俺は死ぬだろう。

それにしても……。

こちらが時を止めた状態で、ようやく個人の身体能力による差が実感できる動き。

時を止めた状態での運動……、まさかな。


「影よ……、アイツの最初の挙動は、やはり光速なのか?」


光に呼応する影ならば、答えがわかるかもしれない。


『……そうだ。』

『ただ、光速で動けるなら、なぜ俺たちを0秒で殺さなかったのかが謎だ。』

「……なるほどな。」


影の言うとおりだ。

何故、光速でワープして、文字通り『0秒』で俺たちを殺さなかったのだろうか?


『ヤツの記憶、龍に乗っ取られたとして、右手の世界線を恐れたんじゃないか??』

「互いに時間への干渉能力……、か。」


時と空間を操る者同士の戦いが始まってしまった。


「そうだ、解釈を変えろ……。」


時を操る、つまり、空間を操ることもできるはずだ。

飛べる、そのはずだ。


「行くぞ!!」


飛んだ。

上空に5メートルは飛んだ。

そして、空間を操るため、自由落下も、座標に体を拘束することもできる。

空間の内部を支配しているようだ。


「これが、世界線の力……。」


驚くほどに、意識が冴えていく。

研ぎ澄まされた五感が教える。

みぎうしろ、左手で手刀。

避ける、では遅い。

薄皮一枚くれてやる。

背後からの手刀により、首から出血する。

その勢いを利用し、回転。

右から手刀を振り下ろす。


「グッ……。」


入った。

あっけないほど簡単に。


「いける。仕留められる。」


慢心ではない。

世界線の力を得て、いまならいけるはずだ。


『相手の力を利用するか……。』

「ああ、世界線の力を使っても、身体能力は向こうが上だ。」


これでいくしかない。


『向こうも疲弊している。行くか?』

「ああ。」


龍とかした右手での一撃を耐えるとは、予想外だ。

そう、俺もアイツも、肉体か精神か、というだけで、もう人間ではなくなっている。

一部は龍になっている。


「……終わらせよう。」

『ハハッ、そうか。』



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