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桜色の理想
「……者よ。」
「……理想の者よ……。」
頭に声が木霊する。
「この声は……?!」
聞き覚えのある声だ。
「……理想神?!」
「私の言葉をお聞きください。あなたの対の存在、異都望は龍の体内、頭蓋の中にいます。」
「どうしてそれを……。」
「以前、あなたが私の世界に来た時、あなたは理想的な状態でした。その体から解き放たれた存在を龍の頭から感じます。」
「そうですか。」
「……何か、変わりましたか、希さん。」
どこか、表情に影が生まれたような……。
「……むなしさと真実への歩み、ですかね。私もよくはわかりませんが。」
「知らないことを知らないというあなたへ、幸運を。」
「ああ。」
桜色の風が舞う。
理想神も見ているのだろうか。
この世界の一連の流れを。
「……さて、頭蓋にいるのなら簡単だ。」
「ああ、やることは決まったな。」
「シャドウ・ハック!!」
光の対は闇ばかりではないことを知れ。