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融合
世界に依存しないもの。
その口を開けさせる必要がある。
といっても、今の俺にあるのはこの龍のような両手だけだ。
思いっきり、殴るしかない。
「頼むから開いてくれよ……。」
中腰、踏み込み、殴る。
「くっ……。」
反動で体が吹っ飛ぶ。
「これであかないんじゃあ、どうすれば?」
「え……、使え……。」
何の声だ。
振り返るも誰もいない。
「こっちだ。下を見ろ。」
影だ。
俺の。
「お前は……、死んだんじゃなかったのか?」
影だ。
戦った、俺自身の影だ。
「お前の体の中……、なぜか空きがあった。そこにいた。」
そういうと、影が俺の背丈までに伸び、止まった。
「お前に渡した世界線の影……、あれを使え。」
「言うことを聞くとでも?」
「わかるさ……、疑っているんだろう??」
「だがな。」
影が向き直る。
「あれはこの龍の煙によって、正気を失い、お前と戦っただけだ。」
「俺が、お前の影ということに変わりはない。」
「持っている世界線と、渡した影を合わせてみろ。」