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暗黒多重世界線ドラゴンズ・クラスタ
「何とかなったようだな……。」
顔の半分にまで亀裂が伸びている。
なぜか腕は元に戻ったように見える。
結局のところ、この龍が『概念悪』と言うことで間違いないようだ。
「(俺がしたこと……それは……。)」
概念悪を取り込むこと。
異都希が体から出ていったために、概念悪を入れる『空き』ができたのだろう。
俺は残った左手でこの龍を取り込んだのだ。
しかしながら、失ったはずの右腕があるのを見るに、取り込まれたのこちら側かもしれない。
「(そして、おかしなことに、右手が龍の皮膚のようになっている。)」
紫色に瘴気を放つ右手。
黒い鱗。
そして、ヒトナラザル外骨格。
「(俺自身が龍になってどうするよ……。)」
頭を抱えながら困惑する。
情緒不安定になっている。
自分でもわかる。
「(幸か不幸か、相手を取り込んだことで瘴気から、痛みや恐れを感じない。)」
この右手のおかげだろうか?
そして自分がどこにいるかもわかる。
龍の尻尾の中だ。
「(とにかく龍の動きを止めない限り、概念悪の回収はできそうにないな。)」
この世界よりも大きい、龍の体内での冒険が始まる。