表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/100

慣れ

「……尋問規定に基づき、刑を執行する。」


形式ばった口調でもう一度、刑罰が行われる。

短剣を取り出し、縛ってある右手の甲ごと突き刺す。


「あぁ……ッッ!!!ウッ……!」


言葉にならない言葉が漏れ出る。

その時、扉が開いた。


「報告です。終業時間を過ぎていますので、現在の業務を速やかに終了してください。」


なるほど。

確かに、ここに連れてこられた時点で夜も更けていた。

そのあとに裁判を行い、尋問をする。

すると、時間が足りなかった。

そろそろ日をまたぐ時間なのだろう。

そう、こいつらは、国に仕える、いわば公務員なのだろう。

ならば残業は嫌うはずだ。


言葉は発さずに、不敵な笑みを浮かべる。


「立て。牢屋に案内する。」


助かった。

どうやら、今日のところは生き残った……らしい。

その後は意外にも、身体の拘束を外し、治療を施された。

体中に白い布を巻かれて、牢屋に帰還した。

壁に背を預け、衛兵が扉を閉めてから去るのを見ていた。


「ふぅ~……。」


治療を施してくれたからか、そこまで痛みはない。


「(一体どういうことなんだろうか……。尋問もあくまで尋問であり、拷問ではない、と言うことだろうか。)」


そのため、『業務』中に終わると物事の真偽がわからないから、一応の無罪を想定して治療をしてくれるのだろうか。

それとも、また明日尋問で同じように体を傷つける、そこまでが拷問なのだろうか。


「(異世界の事情はよく分からん。)」


とはいえ、痛みに耐えることもできた。

ただ、獣人達が助けに来るのはいつだろうか。

今日中でもなければかなり厳しい。

と言うのも、傷はふさがれたが、血を流しすぎた。

今も眠気に襲われている。


「(明日も血を失うとなると、かなり危ない。)」


出血はその総量の半分も出れば危険な領域だ。

しかし、自身の冷静な現状の把握に違和感を感じる。


「(一度死んだから、慣れたってことか……?)」


まあいいか。

誰かが来るまで、何かができるわけでもない。

ゴア達が諦めたのなら、俺はここで死ぬだけだろう。

その時、ドアが開く音がした。

衛兵ではない。

あまりにも小柄だ。

その男は俺の牢の前で立ち止まった。


「……旦那、探しましたぜ……。」

「もしかして、ふたまるまるで世話になったか?」

「へへ……『壁の向こうは』?」

「……『オリジンアニマ』。確認か……?」

「へい。あっしはもともと大工屋みたいなことばかりしてたんで。こういうこてゃ向いてますぜ。」


そう言って、牢の鍵を外してしまった。


「なかなかの手際だな。」

「へい。」

「……その、なんだ。以前あったときと随分違うな。俺のことも旦那とか呼んでたし……。」

「へい。説明は歩きながら。見張りが来る前にここを出ましょう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ