要求
「それでは、まず、あなたの魂を入れる肉体を作ります。何か要求はありますか?」
「いまは肉体がないのですか?精神が出ている状態らしいですが。」
「そうですね。私があなたの心にアクセスしているのです。実際に声は出ていません。……後、敬語はやめ
なさい。」
「……いいものだな、ジト目は。こちらの要求とはいえ……何ができるんです?」
「肉体の強化や精神の変更などですね。性別の変更をするなら、肉体と精神両方の精神を変える必要が出てきます。」
「なるほど。……でも、肉体が男で精神が女でもいいんじゃないか?」
「すばらしい……多様性の容認ですね。」
「……そっちの敬語はなくならないんだな……。」
敬語をやめたせいか、女神の目もうれしそうである。
「ただ、できれば生前と同じにしてほしい。」
「ほう……意外ですね。もっと、大きな要求をしてくるかと思ってましたよ。」
「なんでそう思うんだ?」
「世界を救う英雄どころか、いくつもの『世界』を救うようなものですよ?私の要求は。ですから、たいていのことはかなえてあげられます。しかし、生前と同じとは……。」
「枕が変わると寝にくいだろ?なら肉体も同じ方がいいかなって。」
女神の目に輝きが宿る。
「本当に面白い人だ……。期待してますよ。」
「ただ、異世界に行くにあたって、言語はどうするんだ?そういうところで調整をしてほしいな。」
「わかりました。……では、細かいところのサポート、異なる世界に行くときと帰るときに私とのコンタクト、生前の肉体……要求は以上で大丈夫ですか?」
「ああ……大丈夫だ。」
「わかりました。……それでは早速ですが、異世界に行ってもらいます。」