尋問
裁判は徹底的な魔女狩りと言っていいだろう。
到着するとすぐに判決が下された。
「汝を異民侵略罪として、有罪とする。」
つまり、俺を除く、傍聴席の人、教皇、そして衛兵などもすでにいた。
これは有罪にするためだけの裁判だ。
異論も挟ませない、そういうことだ。
牢獄にぶち込まれる羽目になった。
「(ここまでは想定内……っと。)」
迫害された種族をかばうとこうなるのも仕方ないというものか。
「(ただ……。)」
ここに来るまで、衛兵に言われたことが気にかかる。
「この後どうなるか、知っているのか?」
「……。」
「そうか……。」
口を開けば処罰されかねない。
話はしなかった。
「……出ろ。」
さっきの衛兵だ。
手錠に鎖、四肢の自由を奪われたまま、連れていかれる。
別室につくと、そこには鉄の塊があった。
「(おいおい、これって……。)」
アイアンメイデン……古くは拷問器具だった。
「(なぜ前の世界の物がここに……?)」
もちろん、それ以外の物もあった。
ガラスのような針、水晶玉、文字のようなものが刻まれた石……。
結局俺は、椅子に座らされることになった。
「これより、尋問を行う。」
「……。」
下手なことは言えないな。
と言うより、手順がおかしくないか?
有罪判決が下されたのちに『尋問』……?
「これより、『規定』を言ふ。」
「『尋問規定』……一に、質問には答えよ。二に、偽証すべからず。三に、これらを神に誓え。」
「……以上、汝、これを守るか?」
形式ばった言葉を使いやがって。
お前が右手に持ってるものは何だ。
まるでペンチじゃないか。
「誓う……されど、神ではなく……。」
「!?」
衛兵の顔が変わった。
「人民に誓ふ。」
この『拷問』を切り抜けるのが、目下の目的か。