上下関係
「(この世界を『堕落』させているもの……、もしかして、奴隷制か?)」
あの少女も言っていた。
『……あえていうなら、その世界線をその世界たらしめる、世界の特徴みたいなものでしょうか。あなたの直感で探していただいて構いませんよ。』
そう、女神は自分の直感で探していいと言っていた。
「(つまり……、この違和感が必然的にこの世界の概念悪を教えてくれている……?)」
だとすればこれは大変なことだ。
概念悪を滅ぼすと、それ即ち奴隷制の廃止、ということである。
「(この国の政治なんて知らないし……、一個人でできる気がしない。)」
「……あの……。」
女性が困ったような顔をしている。
そうだ、会話の途中だった。
「ああ、すいません、ちょっと考え事をしていました。」
「……。」
女性も料理を運んできた店員も、少し困惑しているのだろうか。
「お待たせしました、『シャルロッテの薬草焼き』と『漆黒漬けの木の葉や木』です。ご注文は以上でお揃いでしょうか……?」
「……いえ、まだホワイトネックが二つほど来ていません。」
店員の顔から血の気が引く。
「も、申し訳ございません!」
店全体に声が響く。
やはり二人とも声がよく響く。
ゴアは話始めに空気の流れを感じるような発音だし、店員は語尾に語感が残る感じだ。
「か、確認を……、させていただいても、よろしいでしょうか?」
自分の顔を見つめる……、それを超えた凝視をしながら尋ねる。
「……はい、どうぞ。」
「……それでは、失礼します。」
店員心底安心したようだ。
再び店の奥に消えた。
「……いまのは……。」
「……そうです。身分の差による、保身です。」




