死亡
家に帰ってから何をするかを考える。
着替え、勉強、ゲーム、いろいろある。
「やることも、やれることもいつもどおりだなぁ……。」
四つ角を曲がる。
トラックがぶつかってくる。
『僕』は夕方の四つ角で血飛沫をあげた。
今日、『僕』は死んだ……。
目覚めると、辺りは薄暗く、何も見えない。
辛うじて自分の体、そして真っ白の地面が見えるだけだ。
ここはどこだろう。
「……聞こえますか?」
女の人の声がする。
誰かいるのかと辺りを見回すが、やはり見えるのは白い地面だけだ.
「良かった、ちゃんと聞こえているようですね。」
何所から声が聞こえるのか不思議に思っていると、頭上からゆっくりと少女が降りてきた。
驚いた、翼もないのに空から降りてくるとは。
「まず結論からいいます、あなたは死にました。」
そうだ、記憶の通りなら四つ角でトラックに轢かれて死んだはずだ。
冷汗が出るような感覚、同時に心臓が速く打っているような感じ。
しかし、あまり痛みを感じない。
「……気づき始めたようですね。あなたは今、肉体はありません。精神だけを抜き取った状態と考えてください。」
「生前と同じ感覚はありますが、痛みは感じないはずです。」
なるほど、そういうことか。
「実は、あなたに頼みごとがありまして。このまま死ぬか、頼みをきくか、それを聞きに来たのです。」
「……頼み事とは?」
「それを今から話します。まず、あなたには別の世界に行ってほしいのです。そして、そこで『概念悪』を見つけ出し、その世界から無くしてほしいのです。もし、この頼みを聞いてくれるのでしたら、あなたを生き返らせる、いや、異世界での生まれ変わりを約束しましょう。」