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単位と価値観

後ろでは番兵ばんぺいが二人、ただこちらを向いて立っている。

目の前には市場マーケットがある。

上を見上げると、空よりも先に城が目に映る。

ここはどうやら城下町のようだ。

また、この街の価値観だろうか。

通りがかる人はみな白い布を被っている。


「(ここでわかることはこれくらいか……。)」


まずは宿を確保しなければ話にならない。

この街に来るとき周辺に人影はなかった。

村どころか集落すら存在しないのだ。

もしその宿の確保ができないと野宿……ということになるが、番兵ばんぺいがいる街だ。

夜一人で外にいると犯罪者として扱われるかもしれない。

そうすれば牢屋行きだ。

何年か……最悪そのまま殺されるかもしれない。


「(誤解で死刑にされちゃあ割に合わない。)」


この街を反時計回りに歩き、調べることにした。


露店が並んでいる市場マーケットの通りを歩く。

果物のような、赤いモノと黒いモノが木箱に入れられている。

そうして、周りを観察しながら二軒、三軒、と歩くと気付く。

周りからの不審な視線に。


「(そうか!僕だけ白いフードを羽織っていないから、目立つんだ!)」


宿よりも先に白いフードのようなものが必要だ。


「(最悪、門前払いもありえる。もし宗教に厳しい町なら、死刑もありうる。)」


ここでも気づきを得る。


「(城があるから城下町……つまりここは街ではなく国かもしれない。)」


市場マーケットを通り過ぎるとレンガでできた家があった。

周りは木製の家ばかりなのに、ここだけ素材がちがう。

建物もすこし大きい。

ドアには来客を知らせるベルだろうか、金属らしきものが刺さっている。

それは小さな家を表しているのだろうか。

四角形の上に三角形が乗った形だ。


「(もしかして、ここが宿屋なのではないだろうか?)」


とはいえ、この世界の常識を知らない。

ノックは必要なのだろうか。


「(最初は賭けになるか……ええい、ままよ!)」


勢いよくドアを開ける。

木製なのに、ドアノブの部分は金属らしい。

建物の中は木製の様だ。

左手にはカウンターだろうか、女性がいる。

受付ではないだろうか。

やはりここでもみな白い布を被っている。

目の前には階段があり二階につながるようだ。


後は机が二つと椅子が四つずつあるだけの簡素な部屋だ。


「すいません、宿を取りたいのですが、一泊いくらですか?」


受付の女性は驚いたようで、一泊夕食付きで200ハスです、とだけ答えた。

やはり言葉は通じるし、相手の言っていることも理解できる。


「(どうやら通貨の単位はハスらしい。)」


しかし、この街の通貨を持っていないことに気が付く。

あれやこれやと考えている間、受付の冷ややかな視線を浴びることになった。


「この辺りに質屋はありますか?後、白い布を売っているところも。」


「質屋はここを出て目の前にあります。」


「そうですか、ありがとうございます。また来ます。宿は今日の分はいつまでなら取れますか?」



女性は目を見開いた後、胸に手を当て大きく息を吐いた。

……何かに安心した?


「二星間後まで受け付けています。」


時間の単位もわからない。


「はい、ありがとうございます。」


どうやら、最初は手持ちの靴などを売るしかないようだ。

いざ、質屋へ。

後ろで女性がせき込むのが聞こえた。

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