日常にて
13歳にして人の側面を見てきてしまった『僕』は夕方の四つ角で血飛沫をあげた。
今日、『僕』は死んだ……。
時計が鳴っている。
しきりに時計が鳴っている。
窓から射す朝日に照らされ、アルミのようなボディを鈍く光らせ、振動を続ける時計……。
布団に顔を突っ込んだまま無造作に音源のほうを叩く。
外した。
間違えて、近くの壁を殴ってしまった。
諦めて眠い顔をあげ、目覚まし時計を止める。
部屋には日が射している。
「もう朝か……。」
重い体を動かしながら、支度をする。
制服に着替え、トーストとカフェオレをテーブルに並べる。
テレビでニュース番組を見る。
8割は頭に入ってこない。
眠いまま学校に行き、特に何もなく終わる。
校門で先生に朝の挨拶をし、一時間目を受けた後、次の授業を保健室で過ごす。
そのあとは15分だけ出席して、10分はトイレに行く。
給食の後に50分間眠り、帰る支度をする。
隣の席の女子は頬を染めながらこちらをチラチラ見てくるし、取り巻きっぽい男どもは熱視線を送ってくる。
こんな家と学校の往復の果てに何があるのか……。
「徒歩通学できる距離なのはいいんだけど……。」
独り言もむなしく夕暮れ、道路と影が曖昧だ。
家での勉強のためにカフェオレと甘いものでも買っていこうかな。
近くにコンビニがあったはずだ。
コンビニで缶コーヒーとたい焼きを買っていく。
レジまで運んで、会計をすます。
今思えば、あの店員も店と家の往復をする人生を送っているのだろうか。
とりとめもないことを考えながら、帰路へ就く。