魔法使いです。嫌味ったらしいお嬢様は好きですか?俺は嫌いです。
ランキングに載ってる自分の小説タイトルを見てニヤニヤしてるキモ男はどいつだ!?俺だ!!
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翌日の放課後。
俺は第二屋外訓練場に居た。
訓練用の服を着て来なさいって言われたから着てきたよ。着て集合したからもう帰って良い?
逃げてもいいと思うよ。けど逃げても明日ミッシェル先生のチョークスリーパーを掛けられるだけだと思うよ。あっちもこっちも地獄か。いやだねー。
それにしても意外と参加者多いんだな。ひーふーみー、ざっと五十人くらいは居そう。ミッシェル先生!どういうこと!?一対一の秘密の特訓でなんやかんやハプニングがトラブってそのお胸に顔埋められないかなーとか期待してたのに!裏切られたわ!俺とは遊びだったのね!?
僅かに心にあった俺のモチベが今急落しました。さながら株価の如く。ひゅーすとーん。経済破綻。そしてお父さんは職を失い路頭に迷い道端でひょっこり出逢った天使様とラブコメを始める。めでたしめでたし。
ん?何かこっち歩いてくる女達がいる。きっと俺の魅力にようやく気付いた女子達が俺にラブレター付きのお弁当を手渡ししに来てくれたんだな。あはは、そんな食べられないよ子猫ちゃん達。んなわけないね。
誰だろ?目を凝らす。……げ。先頭にいる女に見覚えがある。ありまくる。うえーやだー。関わりたくないー。選択肢、にげる。残念!しかし囲まれてしまった!
「あら?あらあらあら。誰かと思ったら地味顔の平民君じゃない。存在感が薄すぎて羽虫か何かかと思ったわ」
この高慢ちきな声。嫌味ったらしい言い方。こいつもいんのかい。「あら」何回言うんだよ。ダメでしょ!「あら」は一回ってお母さんに言われなかったの?あらやだ奥さんったら教育ママなの?おほほー。おたくの娘さん捻じ曲がって育ってますよ。ちゃんと矯正してください。
さらっさらの黒髪ロングをたなびかせ、今日も今日とてヒールを履いてるこの女。
レイ・シモンズ。
ここ魔術学校は良いとこ貴族の御子息・御令嬢が集まっているわけだが、その中でも『シモンズ家』は結構な上流階級の貴族様である。
他の貴族が貴族戦闘力5くらいだとしたら、こいつは貴族戦闘力25くらいはあるね。
いやー今日もお美しいですよお嬢様。おほほー。
な訳ねえだろ腹黒ビッチが!
お前の場合はその美貌よりも性格の悪さの方が滲み出てるんだよ。ドロドロ漏れてますよー。大丈夫?ちゃんと栓を閉めないからそうなるのよ。開けたら、閉める。これ大事。
何よりお前はおっぱいが小さい!だからダメだ!お前のおっぱい戦闘力が5だとしたらミッシェル先生のおっぱい戦闘力は63万だ!話にならないね!へん!
それは違うよ!
は!お前はもう一人の俺。貧乳派のアベル君!
小さいには小さいの中にちゃんと光り輝く価値があるんだ!でかいだけが全てじゃない!そんなことも分からないなんて、君におっぱいを語る資格なんて無いよ!
すまない貧乳派のアベル君。俺が間違ってたよ。けどなんかテンションがキモいから二度と出てこないでね。デリート。
「一体どのような御用ですかシモンズ」
「様を付けなさい平民」
「はいはいシモンズ様」
「あら羽虫は羽虫でもちゃんと言葉は通じるみたいね?虫にしては上出来よ褒めてあげる」
わーい褒めてもらえたー。羽虫万歳ー。パタパターうにょうにょー。
ファックビッチ。お礼にお前が寝てる間耳周りを執拗に飛び回ってやる感謝しろ。俺は強いぞ、何てったって生に対する執着なら世界一位を狙える自信があるからな。そんな簡単に潰せると思うなよ。パタパター。ぷち。
「シモンズ様もミッシェル先生に呼ばれたのか?」
「いいえ違うわ。昨日の放課後に掲示板を見たら今日のことが書いてあったのよ。だから冷やかしに来たの」
「……あ、そう」
相変わらずカスみたいな魂持ってんのな。
見てみろお前の取り巻きも何か困惑してんぞ。なんで私達ここにいるの?みたいな顔ですごく居心地が悪そう。皆さんシモンズ様を悪く思わないでください。ちょっとこの子は態度と性根と胸と身長と口と魂と装飾品のセンスが悪いだけなんです、ええ。え、良いところ?うーん。ないね!(個人の主観)
「あら、まさか私が参加すると思ったの?何故このレイが平民と一緒に活動しなくちゃいけないのよ。身の程を弁えなさい」
「ふーん。でもシモンズ様俺より成績悪いじゃん」
「…………」
そうですこのレイ・シモンズ様。俺より成績悪いんです。いよいよ良いところ無くなったな。
勉学においても俺の勝ち。魔法においても俺の勝ち。魔法実技は俺が不参加だからノージャッジ。二勝一無効で、俺の勝利!カンカンカーン。
どうしましたシモンズ様。あら黙っちゃった。図星突かれて黙っちゃった。ぷぷー、平民平民言ってる相手より格下ってどんな気持ちですかー?
あ、額に青筋立ててる。拳を握り拳にしている。わなわな震えてる。え、怖い。
じょ、冗談ですよシモンズ様。ほら平民ジョークだから。スマイルスマイル。君の幸せな笑顔が見たいなー。やっべ煽りにしかなってねーや。
「このクソ平民が……私がこんな平民より劣ってるなんて、何かの間違いよ。絶対に間違ってる」
こわーい。すごくこわーい。
やめて、君の力は絶大なんだ。より詳しく言うと君のバックにあるロイヤルファミリーパワーがね。平民なんかじゃ太刀打ちなんか出来ないこの家格の格差。でも俺ん家には愛しのマイシスターがいるから引き分けだね。うんそうしよう。それで丸く収めよ?だからそのお怒りを鎮めて?
「……上等じゃない。私も参加してあげる」
「は?」
「ラングフォード教諭の特別訓練よ。此処で私と平民の格の違いを証明してあげる。平民ごときが私の上に立ったことを後悔させてあげるわ」
「えぇ……」
プライドがお高いですね。ついでに鼻もお長いですね。ポキッと折りたいそのお鼻。
何食ったらそんな捻くれちゃうの?ちゃんと栄養を摂りなさいよ。タンパク質とか摂るといいよ!お胸のためにも。あとカルシウムね。イライラが治るぞ。
あ、ミッシェル先生来た。
「ん?シモンズ。此処で何をしている?」
「……ラングフォード教諭。私も訓練に参加させてもらうわ!別に構わないでしょう?」
「それは構わないが………あぁそういう事か」
ミッシェル先生が俺とシモンズを見て得心したように目を細める。
さすミッシェル。話が早いね。多分俺とこいつの仲の評判の悪さを耳にしてたんだろう。
噂だといがみ合ってるとかなんとか言われてるからね。あれれーおかしいぞー俺は完全に絡まれてる側なんだが?九分九厘被害者サイドなんだが?
残りの一厘は、まあ、ね。悪口とか呪詛とか吐きまくってるからね、心の中で。でも心の中だから、セーフ!審議は受け付けません。ゲームセット。
「まあ参加したいと言うならば歓迎しよう。だが余り問題を起こすようなら追い出すからな?」
「ええ。心得てます。勿論」
うわ、悪どい顔してるー。笑顔は見れたけどそんな悪い笑顔は見たくなかったなー。
仲間が一人増えましたね。おめでとうございます。じゃあ俺帰っていいです?プラマイゼロで俺帰ってバランス取りましょうよミッシェル先生。ダメ?あ、ダメ。ほげー。
地獄の訓練がーー始まる。
あ、シモンズの取り巻きの皆さんオロオロしてる。
あの、帰っていいと、思いますよ?知らんけど。
読んでくれた皆にマルゲリータを贈りたいマルゲリータです。こんな名前だけど俺はデブじゃないからね。ホントだからね。