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魔法使いです。勇者のパーティを抜けたいです。【連載版】  作者: マルゲリータ
第一章 魔術学校編
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魔法使いです。先生が美人です。

思いつきで書いた短編が俺の予想の頭上を越えて日間ランキングまで載ったので連載版書きました。ゆったり書きます。短編の設定を流用する予定ですが、細かいところは変わるかも。結構適当にやっていきたいと思います。

 どうも、魔法使い見習いです。

 非モテの陰キャ(男)です。


 早速ですが、隣の席の金髪美男子をぶっ飛ばしたいです。


 王立魔術学校。俺が通う学校だ。

 まあ名前の通り学校は学校でも、『魔法使いを育てる学校』である。

 全校生徒およそ五千人を誇る超マンモス校。しかもその生徒全てが魔法使いの卵であり、良いとこの貴族の御子息、御令嬢が大半である。

 そんな中に居る、俺。平民中の平民。

 その名もアベル・ベルナルド。国一番の魔法使いになる……予定の男。アベルって呼んでね!

 呼んで欲しいんだけどなぁ……。特に女子達に。今のところ俺の名前を呼んでくれるのは母と妹と担任の先生の出席確認だけ。アベルくんー?はい、元気です!これだけ。悲しみ。


 まあいいさ。いつか俺もモテモテになる。何故なら俺は知ってるんだ。本当にモテる奴の特徴ってやつをな。


 魔法が出来る奴。これしかない。というかこれ以外あり得ない。断言できるね。


 だってここ魔術学校じゃん?立派な魔法使いになるのがここの生徒五千人全員の目標なわけでしょ?


 つまり、魔法できる=モテる。証明終了。

 完璧だ。完璧な論理展開、完璧な結論。これを覆すなんてどんな偉大な数学者にだって不可能。やれるもんなら反論してみな!計算用紙を俺のファイアーボールで燃やしてやる。いいか数学者よ、紙は燃やせば、燃える。

 これこそがこの世の理である。


 だから、これは何かの間違いなんだ……。

 魔道書を読み耽っている俺。

 その隣で展開されているこのキラキラフィールドは、何かの間違いなんだ……!


「ライアン様、本日はわたくしと一緒に中庭でランチなど如何でしょう?」

「ちょっと!ライアンとは私達が先に約束してたのよ!」

「ウチらが先だったんだけど!」

「まあまあ良いじゃないか。皆で仲良く食べよう」

「うー…仕方ないわね……」

「ライアン様が仰るなら……」


 ははは、まあまあ、良いじゃないか、皆で、一緒に、仲良く、食べよう。

 ちくしょう!何だその爽やかで完璧な受け流しは!どうです?解説のアベルさん。ええ、素晴らしい返しですね。誰も傷つけることなく場の雰囲気を壊すこともない。正に百点の受け流しと言えるでしょう。ライアン選手、上手く凌ぎましたねー。ファック!


 あー!キラッキラだよ!輝いてるよー。

 ムカつくよー。モテてーよー。だが残念。アベル選手のお相手は魔法陣のみです。魔法陣ちゃん、後でデートでもしない?図書館とか図書館とか図書館とかで。図書館はいいよー。何と言っても静かだからね。こんなリア充どものキャッキャウフフが聞こえてこない。最高。


 こんなとこに居られるか!俺は自分の席に戻るぞ!あ、ここが俺の席だったわ。逃げらんねーや。ほげー。

 チャイムの女神よ、俺を救いたまえ。キンコーン。イケメンに群がる女どもはさっさと自分の席にお戻りやがれでございます。

 時計を見る。チャイムまであと五分もある。この苦行があと五分も……だと……。無心だ、無心で魔道書を読むのだ俺よ。取り敢えずライアンは爆ぜろ。

 あら、扉が開いた。先生だ。


「授業五分前だ。生徒は席に着きなさい」


 おっと教室の気温が急に下がりましたね。良いことです。あ、ライアンの周りにいた女子達もすごすご解散した。イエス!アイムウィナー!

 流石はミッシェル先生だ。今日もその鬼教官ぶりが見れて嬉しい限りです。もうね、凄いね。雰囲気がね。あれー?ここって北極ー?ってな具合に冷えっ冷え。氷のようなその眼光に睨まれた人間は恐怖で石化するとかしないとか。それなんてメデューサ?


 ミッシェル・K・ラングフォード。

 またの名を鬼教官。みんなはそう呼んでるよ。けど先生本人にその名で呼んだ生徒はいないよ。居たとしてもそいつはもうこの世にいないよ。多分。あ、担当は魔法実技です。スパルタだけど授業は無駄なくそつなく分かりやすいと評判です。俺もミッシェル先生の授業は結構好き。


 昔は実習も兼ねたミッシェル先生特製戦闘訓練があったらしいけど、多数の生徒からの命乞いもとい苦情が殺到したためナシになったらしい。どんな訓練よ。怖い。ミッシェル怖い。

 しかしこのミッシェル先生がその鬼教官ぶりだけが有名な理由ではない。

 もう一つはその容姿だ。もうね超美人。超絶ビューティーだから。

 朝に見ても昼に見てもいつも黒スーツ姿。きっと夜もスーツ姿。多分スーツしか持ってないんだろうね。俺ってば偏見の塊である。

 まあでも魔術学校入学から何年か経った今でもミッシェル先生のスーツ姿以外の格好を見たことがない。うん、でもめっちゃ綺麗だから問題ないな!

 すらりと伸びた脚、女性としては高い身長、輝きを放つブロンドヘアーと海のように透き通った蒼い瞳。

 教師じゃなく女優と言った方が百倍しっくりくるね。戦闘のできる名女優、売れそう。


 そして何より、その豊満なお胸様ですよ。スーツ姿だからかめっちゃ強調されてるから。めっちゃボンキュッボンがボンキュッボンだから。何言ってんだ俺。

 まあ何が言いたいかと言うと、健全な男子生徒としてはミッシェル先生は二重の意味で危険です。WARNING!WARNING!鬼教官として。あとはオトコノコとして。

 そんなお美しいお姿でそんな冷たい瞳で見られた日には……あれ?やばいわ。何か新しい扉開いちゃいそうだわ。三重の危険だね。ジェットストリームアタックされちゃう。ぐへえー。


「ーールド。アベル・ベルナルド!」

「ほわい!?」

「……なんだその奇妙な返事は。早く前に出てこの問題を答えなさい」

「あ、はい。スミマセン」


 やっべ。気付いたらもう授業始まってたわ。しかも結構聞き流してたってばよ。

 Oh……。授業聞いてなかったとかミッシェル先生に絞られちゃうわ。

 わりとガチで。

 ついでに聞き流した理由がミッシェル先生のおっぱいのこと考えてました!とかもうね。俺の首が絞られちゃうわ。キュッとしてゴキッとね。

 以前、授業中に弁当を食べていたちょっと不良な男の子が職員室に連れてかれたことがあった。

 そしてその後、彼の姿を見た者はいない……。

 そんなことはないけどね。彼は元気よ?今では背筋ピーンと伸びた七三分けのお利口さんにフォルムチェンジしましたとさ。めでたしめでたし。怖。


 つまり何が言いたいかというと状況的に見れば結構なピンチなわけだ。

 しかし!甘いねミッシェル先生。この程度でオロオロしちゃうのはズブの素人。俺は勉学を疎かにして女の子とキャッキャウフフしてるどっかの誰かとは違うんですよ。具体的に言うと俺の隣の席の奴みたいなね。

 ーー俺の日々の友を、誰だと思ってるんだい?

 魔道書。……泣きそ。

 学生の本分は勉強なのだ。つまり俺は何一つ間違っていない。間違えてるのは学校を出逢いの場にしてる世のイケメンと美少女たちなんですよ先生。だから早く俺の隣のライアンとかいう奴を絞っちゃってください先生!軽くでいいから。妥協して死ぬ直前まででいいから。お願いします、はーと。ダメ?あ、ダメ。はい了解です。


 はいさらさら〜と。適当なこと考えてる内に答え出ましたよ先生。ファイナルアンサー。さあ判定やいかに。


「流石ベルナルド、正解だ。席に戻っていいぞ」


 いえーい。先生ご褒美は?あ、ない。ウィッス。戻ります。スタコラサッサー。

 席に座ると、何か横から視線を感じる。ライアンだ。爽やかクソ野郎が何の用ですかね。


「すごいなアベル。俺はあの問題解らなかったよ」

「……いや、あれくらい簡単だろ……ちゃんと勉強してれば」

「はは、厳しい言葉だ」


 フゥーーーンッ!!ムカつくー。すこぶるムカつくー。先生ー隣の奴さっきの解らないんですってー。絞っちゃってくださいよー。七三分けにしちゃってくださいよー。

 七三分けのライアン。ちっ。想像したけど元の顔面素材が高級だから似合っちまうじゃねえか。ファック!てか俺の名前を気安く呼ぶんじゃねえ!

 女子どもはあれだろ?どうせライアンくんが七三分けでも知的で素敵ー抱いてーってなるんだろ?ファック!

 俺が七三分けしてみ?うわーガリ勉が外見までガリ勉になってるーウケるー。ウケねーよボケ。ファック!


 世の理不尽を変えるためなら俺は悪魔と契約だってしてやろう。さあ俺の下へ来い悪魔!イケメンを死滅させてくれ!見返り?うーん、俺の魂の端っこあげる。はいどうぞ。やっておしまい悪魔さん。

 モテるためなら世界を変えることも厭わない。そんな俺。どうだいマイシスター。こんなかっこいい俺がモテないなんて世の中どうかしてるだろ?あれ?なんでそんな可哀想な人を見る目で見るの?なんで無言でおかず一つくれるの?やめて優しくしないで。優しさは時に人を傷つけるんだ。やめて。


 キンコーン。あ、授業終わった。

 昼だ昼ー。飯の時間だー。俺はいつも弁当を持たない。なぜかって?それはね、俺のことが好きだけど勇気の出せない隣のクラスの女の子が俺に弁当を渡せるシチュエーションを作るためさ。俺ってばまさに優しさの化身。だからいいのよ?勇気を出して俺に弁当をくれていいのよ?顔も名前も知らぬ女の子よ。あ、俺の中のマイシスターがまたおかずを渡そうとしてくる。やめてわかったから!大人しく購買部行くから、優しくしないで!


「あ、アベル。ちょっといいかな」

「あ?なに?」


 何だライアンくん。俺は俺の中の愛しの妹から逃げるために購買部へ行くのだ邪魔するんじゃない。


「俺たちこれから中庭で昼ご飯食べるんだけど、一緒にどう?」

「断る」


 馬鹿だったよライアンくん。アホなのかこのアホは。なぜ純度120パーセントお前にしか興味のない女子達しかいない場所に俺が行かなくちゃいけないんだ。居た堪れないよ。何か逆に俺が気遣いそうだわ。あ、ごめんね女子たちごめんね?ライアンと一緒が良かったのに何か変なガリ勉がいてごめんね?ってなるわ。なんでだ!なぜ俺がそんな気遣いしなくちゃいけないんだ!寝言は永眠してから言ってください。


 さあ購買部へレッツゴー。パンにしようかなー。でも今日はサンドイッチな気分もする。どっちでもいいね。さあ行こう。

 ん?ミッシェル先生が俺を見てる。なんだろ。まさか俺が貴女のおっぱいのこと考えてたことが見抜かれてる!?いやーまさかー。アッハッハー。何ですミッシェル先生ー。


「……ああベルナルド。貴様に少し話があるから、昼休み。職員室に来なさい」



 ……………助けて妹よ。

読んでくれてありがとうございます。

どんな感想でもじゃんじゃんウェルカムです。褒められたら喜びます。つまんね!って言われたらごめんねってなります。どんと来い

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