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1.プロローグ
本日は二話投稿です!
視界を埋め尽くすのは絶対的な「赤」。
炎は自分以外のすべてを燃やし尽くす。
その暴力的なまでの侵略はとどまることを知らない。
既に周りは火の海で逃げ道などどこにもない。
熱さなどは感じない、炎は友人なのだ。
しかし空気がなくなればどうすることもできない。
少しずつ息苦しくなるが焦りは感じない。
目を閉じ、心の中で呟く。
これでよかったのだ、と。
自分は死ぬべきなんだ、と。
そう思うと少し気が楽になり、自然と口角が上がった。
そのまま母親に甘えるかのように、そっとその身を委ねた。




