拷問
「くっくくく…無駄だ、無駄だよ!器ぁ!」
ティルガンはリンに襲い掛かりながら笑う。
「もう諦めたらどうだ。このままじゃ埒が明かないぞ?」
復讐者はリンのことしか眼中にないようだ。
もう何時間たったかもわからない。
応援に来た騎士団や宮廷魔術師までも壊滅し、地面に横たわっている。
休む間もなく復讐者とティルガンの攻撃が続く。
リンは一撃、一撃に力を込めるが、復讐者の影は再生し、増えるばかり。
心の奥で、自分の力に限界を感じ始めていた。
「ライネス……気をつけて!」
叫ぶリンの声は、闇に掻き消される。
その時――
鋭い叫び声。
ライネスの姿が、不意に出てきた男の刃に貫かれた。
「――え」
リンの胸を強い衝撃が突き抜ける。
悲しみ、怒り、恐怖――
あらゆる感情が一瞬で押し寄せ、リンの心を凍らせた。
さらにその男の正体に気づいた時、リンは震えた。
私を拾ってここに連れて来てくれた男…
ダミアン…?
リンが固まる。
その一瞬の隙を復讐者は見逃さなかった。
リンは吹き飛ばされ壁に激突する。
リンはその攻撃を避けたはずだった。
が、しかし――
「やはりダンジョンコアはダンジョンコアよな」
ティルガンが頷きながらそう言った。
「いくらお前でもこいつとは五分五分だろうよ」
ティルガンは復讐者を指さし、不敵な笑みを浮かべる。
リンはそんな話など聞いてもおらず、ライネスの傍に向かおうとする。
しかし――
ダミアンがぐったりしたライネスを持ち上げ、首元に剣を立てた。
「それ以上近づくな。お嬢ちゃん」
ダミアンは笑いながらリンに言う。
「王女様を殺してほしくなかったらその場で一歩も動くな。そして、土下座しろ」
ティルガンは声を上げて笑う。
リンはプライドどうこうより、ライネスを殺されるという恐怖が体を支配した。
ダミアンなんて雑魚に用はない
、ティルガンとかいうあの魔王が、ライネスをいつでも殺せるように魔法をかけたことがリンを絶望させた。
魔王のかけた呪いは、いくらリンでも解除に一秒以上かかってしまう。
一秒もあればこの魔王はライネスを殺せるだろう。
そして――
リンはその場で土下座したのだった。
ティルガンとダミアンが笑い出すが
復讐者は止まらない。
これでもかと言わんばかりにリンを殴る、切る、焼く。
あらゆる現象が凛に襲いかかる。
が、リンもまたダンジョンコアの影響で死なない。
死ねない。
想像を絶するような痛みに耐えながらリンは土下座を続けている。
リンは機会をうかがいながらも耐えようとしている。
が、本人も気づかずに涙がこぼれ堕ちた。
痛いからだろうか…
悔しいからだろうか…
涙を滲ませながらリンは何度も殺される
ダミアンはライネスが完全には死ねないように治癒をかけながら、いたぶるように剣で腹を貫く。
まるで地獄のような拷問劇だった。




