大賢者に拾われる
………死んだ。
なぜかは分からない。
ただ、自分が死んだことだけは、はっきり と理解できる。
息ができなくなって。
体が動かなくなって。
意識が、途切れて――
「ああ……」
ぼんやりと思う。
どうせ死ぬなら。
もっと自由に生きればよかった。
言いたいことも、やりたいことも、
たくさんあったのに。
全部、何もできないまま終わった。
「……もう一回、やり直せたらなぁ」
そんな都合のいい願いを、最後に思って―
そこで意識は完全に途切れた。
*
「……起きたのか」
声がした。
「気分はどうじゃ」
ゆっくりと、意識が浮かび上がる。
「……ん」
目を開けるが何も見えない。
そこは完全な闇だった。
「……え?」
驚いて体を動かす。
心臓も、動いている。
「……なんで」
なんで私、生きて…
だって私は――
「死んだ、はず……」
「その通りじゃな」
すぐ近くで、声がした。
「っ!?」
リンは反射的に体を引く。
さっきの声か…
そう理解はしているが、完全な暗闇がリンを恐怖で支配する。
そこに、“誰かがいる”。
見えないのに、確実に感じる。
「安心せい」
その声は、落ち着いていた。
ゆっくりと。
何かが灯る。
ぽう、と。
淡い光。
それが広がり、周囲を照らした。
「まぶしっ……」
だんだん目が慣れてくる。
そこにいたのは――
白い髭をたくわえた、老人だった。
穏やかな顔。
だが、その目はどこか底知れない。
「……誰」
喉が乾く。
自然と警戒していた。
「名乗るほどのものではないが……」
老人は少し考え、
「大賢者、とでも呼ばれておった者じゃ」
あっさりとそう言った。
「……は?」
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