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大賢者に拾われる

………死んだ。


 なぜかは分からない。


 ただ、自分が死んだことだけは、はっきり と理解できる。


 息ができなくなって。

 体が動かなくなって。

 意識が、途切れて――


「ああ……」


 ぼんやりと思う。


 どうせ死ぬなら。

 もっと自由に生きればよかった。


 言いたいことも、やりたいことも、

たくさんあったのに。


 全部、何もできないまま終わった。


「……もう一回、やり直せたらなぁ」


 そんな都合のいい願いを、最後に思って―

 

そこで意識は完全に途切れた。



「……起きたのか」


 声がした。


「気分はどうじゃ」


 ゆっくりと、意識が浮かび上がる。


「……ん」


 目を開けるが何も見えない。


 そこは完全な闇だった。


「……え?」


 驚いて体を動かす。


 心臓も、動いている。


「……なんで」


 なんで私、生きて…


 だって私は――


「死んだ、はず……」


「その通りじゃな」


 すぐ近くで、声がした。


「っ!?」


 リンは反射的に体を引く。


 さっきの声か…


 そう理解はしているが、完全な暗闇がリンを恐怖で支配する。


 そこに、“誰かがいる”。


 見えないのに、確実に感じる。


「安心せい」


 その声は、落ち着いていた。


 ゆっくりと。


 何かが灯る。


 ぽう、と。


 淡い光。


 それが広がり、周囲を照らした。


「まぶしっ……」


 だんだん目が慣れてくる。


 そこにいたのは――


 白い髭をたくわえた、老人だった。


 穏やかな顔。


 だが、その目はどこか底知れない。


「……誰」


 喉が乾く。


 自然と警戒していた。


「名乗るほどのものではないが……」


 老人は少し考え、


「大賢者、とでも呼ばれておった者じゃ」


 あっさりとそう言った。


「……は?」

読んでくれてありがとうございます!!!

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