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2ー2

「待って。今のいち花でなにか話が作れそう」


 なんだか嫌な予感しかしないけど、オリジナルってことだよね?


 凪のオリジナルって、あんまり演じたことないから楽しみ。


「うん、いち花グッジョブ!!」


 カバンの中からノートを取り出した凪はあわててえんぴつを走らせる。


 楽しいを共有してるのはこんな時。


 奇跡が生み出される瞬間だもの。たとえそれがどんなに皮肉っぽくたってかまわない。わくわくどきどきが紡がれてゆくのを共有できるのって、素敵じゃない?


「いち花、今の気持ち保ちつつ、もうすぐゴールデンウィークだって気持ち整えておいて」


 どっちやねん。


 ともかく、季節は四月がそろそろ終わりに近づいている。


 おおむね月の真ん中あたりが劇場部の公演と決まっているので、今日四月十五日となるわけよ。


「なんかすごく嫌な感じの女だけどいい?」

「このタイミングで? わたし、将来的に恋人ができなさそうな予感がしてきた」


 でも今は演劇がある。だからこそ、お気楽に生きていける。


 わたしたち四人は、初等部のころに出会い、それぞれの友だちを通じて仲間になった。


 当時から本の虫だった凪にハムレットを読まされたのが初等部の二年生。


 もちろん母親ガードルートの不倫やおじさんの裏切りなんて理解できなかったし、ハムレットがどうしてそこまで亡き父の亡霊に取り憑かれてしまったのかもわからなかつた。


 けど、そのわからなさ加減が楽しくなった。


 わからなければ、わかるまで読み込めばいい。凪にそう言われて、音読するも、さすがの初等部で理解することができず、あえなく断念したわけだけど。

 

 陽稀と蓮が加わって、音読しているうちに別の楽しさにも気づくことになる。


 そう、演劇だ。


 そこでわたしたちは演劇部の存在を知ったわけだけど。彼らはもう演劇のなんたるかを知り尽くしているような生意気さ加減でわたしたちをズブの素人とこきおろした。


 そんなわけで、凪が一念発起して作ったのが劇場部。


 衣装も最小限だし、小道具も最小限。ほぼ朗読劇に近いかたちだけど、今では演劇部より人気がありますの。ほほほほほっ。


 ってなわけで、いよいよ本読みしなくちゃね。


     つづく

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