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11ー4

 なんというかぐや姫なのだろう。食におぼれて婚期を逃したか。


 でも、おかしいなぁ。この時代の女性は、ぽっちゃりした方がもてるって聞いたことがあるんだけど。


 凪って本当に美意識強いな。


 そんな凪に恋人を会わせるために、わたしはスマホをぎゅっと握りしめた。


「ごめんなさい。彼氏ができた、なんて嘘でした」


 みんなの前で堂々と白状したわたしに、やっぱりな、という陽稀の声が重なる。


「おかしいと思ったんだよ。でもこれで、凪は日本にいる理由になるだろ?」


 う〜。頭まで下げてあやまったよう。


「わたしが適当に嘘をついたのはあやまります。だからどうか、三月公演まで日本にいてください」

「いち花は、それだけでいいの? 三月公演が終わったら、凪と会えなくなっても後悔しない?」


 蓮が穏やかに声をかける。わたしははっとなって凪を見た。


「嫌だ。三月公演終わっても、これからも凪と一緒にいたい。本当は凪のこと、大好きなんだからぁっ」


 思わず本音を全部吐き出してしまった。


 真っ赤になって、凪を見ると、笑ってない。むしろ怒ってる?


「怒った?」


 少なくともわたしのせいでカナダに行こうとしていたのだから。そりゃ怒ってあたりまえだけど。


 笑ってって言っても、困るよね?

 

「怒ってない。あきれただけ」


 マジか。もっと悪いじゃん。


「でもこれで、どうしていち花がぼくのことを振ったのかわからなくなった。ぼくのこと好きだって言ったよね? それ、本当?」

「……本当」

「じゃあおつきあいしてもいいんじゃない? 違う?」

「違わない、です。むしろウェルカム」

「よし。交渉成立。ぼくはカナダに行かない。お婆様はさみしかったら日本に来ればいいし、ぼくのことを好きないち花を放ってカナダには行かない。むしろ嘘つかれた分束縛するけどいいよね?」


 ……ダメって言えないじゃん。


「三月公演は、あるの?」

「あるよ」


 しっかりとそう言ったから、わたしは凪を信じる。


「みんなも。嘘ついてごめんなさい。うっかり劇場部が途中で崩壊しそうになりました」


 つまらないプライドやかけひきなんてしなきゃよかった。


 だって。これで堂々と凪とつきあえるんだから。


 わたしにはまだ劇場部がある。三月公演でいったん終わるけど、凪とはこの先も会える。


 こんなにしあわせだと、四月からどうなっちゃうのかわからなくて不安になるなぁ。


     つづく



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