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10ー3 『鶴子と恩返し』中編

かたり「うら若い娘の声が聞こえて、おじいさんは戸を空けます」


おじいさん「おや、これはこれは。寒いじゃろう。さぁさ、中に入ってくだされ」


おばあさん「どこから来ましたのじゃ? 今、白湯を作りますゆえ」


鶴子「ありがとうございます。この悪天候で道に迷ってしまいました。わたしは鶴子。お礼にはたをおらせてもらいます」


かたり「鶴子と名乗った娘さんは、震える身体を抱きしめ、白湯を飲むとはたをおり始めました」


おばあさん「なんとまぁ美しいおり姿なのでしょう。おった布地まで美しい」


おじいさん「無理してそんなにおらなんでもよいのですぞ?」


鶴子「いいえ。わたしにできるのはこのくらいですから。さぁ、一反織りました。これをお金に換えれば、しばらく暮らすことができるはずです」

 

おばあさん「なんとまぁ、ありがたい」


おじいさん「お嬢さんをお招きしただけでこのようにしてくださるとは。あなた様は神様じゃ」

 

鶴子「いいえ。わたしはただ、はたをおるのが好きなだけの女です」

 

かたり「それから鶴子はあたりを見回すと、さみしそうに目を細めました」


鶴子「差し出がましいようですが、お二人の生活はかなり困窮しているものとおうかがいします。もしよろしければ、しばらくここにとどまり、お礼にはたをおりますが、いかがいたしましょう?」


おばあさん「さすがにそれはずうずうしいです。わたしはなにも求めません」


おじいさん「わしもです。これ以上望んだら罰されてしまいますぞ」


鶴子「それでしたら、金の布地と銀の布地をおりましょう。それで、二、三年は暮らせるはずです」

 

かたり「鶴子はあっという間に美しい布地を二反おってしまいました。そしてまた二年後にうかがいますと言いおいて、去って行きました」

 

おじいさん「あの娘さんは、たいへん心が美しいのじゃな。おばあさんにもおとらぬ美しい布地をおれるのじゃからの」

 

おばあさん「わたしもせいぜい美しい布地と評判じゃが、このようにはおれんでの」


かたり「そうして二人は二年後までも、つつましく暮らしておりました。そんな中、どこからか鶴の鳴く声が聞こえます」


おじいさん「おや? こんなところで鶴が罠にかかっておる」


かたり「おじいさんはまた、鶴を罠からはずして手当てをしてあげました」


 後編へつづく

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