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9ー4 『マッチ売りと少女』後編

マッチ売り「おかしいな。たしかにこっちだったはずなんだけど。おや? こんなところに川があったか?」


女神「あなたが落としたのは金の斧ですか? それとも銀の斧てすか?」


マッチ売り「おお、女神様。ちょうどいい。こっちにあやしい男を見なかったですか?」


女神「……あなたが売ったのは普通のマッチですか? それとも幻覚作用のある危険なマッチですか?」


マッチ売り「普通のマッチしか売ってませんっ。まったく、世の中ってのはどうかしてますよ。幻覚作用のあるマッチなんか手に入れて、どうしようってんだ」


女神「夢を見たいのではありませんか?」


マッチ売り「ありえないな。そうだ。協力してくださったお礼に、このマッチを差し上げます。いいですか? 火の取り扱いには充分注意してくださいね」

 

女神「はい。それはもう」

 

かたり「女神はすぐにマッチをすりますが、幻覚が見えている様子はありません」


女神「これは普通のマッチですか?」


マッチ売り「だから、そうだと言っているじゃありませんか。信じてなかったんですか?」


女神「いや、おっさん適当に薄汚れているから、てっきりヤバイやつを売っているようにしか見えなかったのよ。それに、指名手配犯によく似ているし」


かたり「女神様が指名手配犯の顔写真をあげると、丸や三角、四角といった抽象的なものが描かれていました」


マッチ売り「全然似てないのですが?」


女神「おかしいわぁ。この界隈でマッチを売っているのはあなたしかいないのに」


マッチ売り「いいや、もしかしたらネットで売ってる可能性もありますよ?」


女神「……あ〜!! その方法であなたは幻覚作用のあるマッチを売りさばいているとっ!」


マッチ売り「俺はインターネットなんて使えませんよっ。どこかの誰かなんでしょう?」


かたり「そこで、ハイエナの獣人があらわれたのです」


ハイエナの獣人「おう、こんなところで女神と会えるとは、俺ってラッキーだぜ」


女神「失礼な獣人ね」


マッチ売り「あにたも相当俺に失礼でしたよ?」


ハイエナの獣人「まぁまぁまぁまぁ。ここはほら、コレでもって幻覚でも見てくださいよっ」


マッチ売り「くそう、おまえが犯人かぁ!!」


かたり「こうして、幻覚作用のあるマッチを売っていたハイエナの獣人を取り押さえたマッチ売りの男は、街でヒーロー的な扱いを受け、マッチ売りからマッチョを売りにしたトレーニングジムで働くスタッフの一員として、潔癖に生きてゆくのでした。めでたし、めでたし」


〘閉幕ブザーの音〙


 これで、十二月公演『マッチ売りと少女』は終わりとなります。お足元にお気をつけてお帰りください。


 また、本作はフィクションです。火の取り扱いには充分注意してください。


     つづく

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