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8ー3 『しあわせになりたい王子』中編

かたり「ツバメはしかたなく、王子の注文通りの家に金をくわえて運びました」


ツバメ「王子様、これで本当にさようならです」


王子「すまないきみ、もう少しだけ、少しでいいからぼくをしあわせにしておくれよ。ぼくのしあわせは、困っている人を笑顔にさせることなんだ」


ツバメ「でもそのせいで、ぼくの身体はすっかり冷え切ってしまいました。今日のうちにも飛べるだけ飛んで行かなくては、仲間の元へ合流することはできなくなります。つまり、あなたの自己満足に巻き込まれたおかげで、ぼくが不幸になっているんですよ?」


王子「それはすまなかった」


ツバメ「すまなかったですむものですか。今の今までそのことに気づいてないということは、あなたは存命のうちからそうやって身内を不幸にしてきたってことになるんですよ」


王子「そうかもしれない。だからかな? 姫はぼくが話しかけても笑ってくれたことがないんだ」


ツバメ「ほら、やっぱり。……でも、もうここまで付き合ってしまったのですから観念します。次はどの家に金を運べばいいのですか?」


かたり「ツバメは王子の注文通り、次々といろんな家へと金を運びました。その都度身体は冷えてくるし、羽根が曲がったりしてきます」


王子「ねぇきみ。きみの望みはなんだい?」


ツバメ「ぼくはもう、仲間の元へ行くことはできなくなりました。でもひとつだけ。王子様の笑顔が見たいのです。ここまで乗りかかった船、なんとか王子様を満足させたいんです」


王子「でもね、きみ。ぼくの体はもうほとんど金がなくなってしまった。残っているのはこの二つの目に宿された宝石のみ」


ツバメ「嫌ですよ、王子。あなたの目をついばんで、他の人のところへその目を届けるなんてごめんです。それにぼくはとても寒い。寒くて飛ぶこともできないんです」


かたり「そう言うと、ツバメは王子の足元でうずくまり、小さな身体を震わせました。もう飛ぶことはできそうにありません」


王子「でもね、最後のお願いなんだ」


ツバメ「嫌です。あなたに人生を狂わされたせいで、ぼくはこのまま死んでしまうでしょう。ですからお願いです。どうか最後に笑って見せてください。ほかの誰でもない、王子様の笑顔がみたいのです」


 後編へつづく

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