7ー5
なんだか今回もコメディ要素が多めだけれど、これはこれでありだと思う。やっぱり凪って天才っ!!
「葵くん、ご苦労様っ!!」
わたしが彼の紙コップにオレンジジュースをつぐと、申し訳なさそうに体をくねらせた。
「いや、いきなりの大役で緊張しました。ステージの上のみなさんはすごいです」
「そんな水くさいこと言わないでよ。同じ年なんだし、もっとフランクにさ。まぁでも、照明係もいきなり大舞台でご苦労様」
凪、よく言った。そんでもって、原稿出来上がったのってほんの二日前だったから、最悪本持ったままの芝居を意識したよ。
「俺も今回でくせ者枠確保できたんじゃないかって自覚してるんだよ」
みんな、陽稀の言葉にドン引きしてるよ。そんな陽稀の首にまとわりつくように蓮が言う。
「まぁ少し? ぼくとキャラ被りしてるから、そこだけ気をつけて欲しいかな?」
「そんなっ。ぼくが蓮くんとキャラ被ってなんていませんから」
そこねぇ、全力で否定すると、蓮がしつこいのよ。そんでもって蓮の怒りの矛先は陽稀の首じめにあらわれる。
「いいや、可愛いくてあざといだけならぼくの圧勝だけど、敬語キャラにはかなわないもんなぁ」
「でも、みなさんとこうして話すだけでも緊張していますし、いきなり敬語辞めるなんてできません」
「いい、いい。葵くんはそのままで充分だよ。敬語だろうとなんだろうと、ずっと照明係をやって欲しいんだ」
凪いいこと言った。若干照明係に力を入れていたあたり、葵くんの災難に感じるが。
でも、こうして新生劇場部が始まったんだ。
くぁ〜。今日は体重を気にしないで果汁ヒャクパーセントのリンゴジュースを飲みたいっ。
帰ったら買いに行こうっと。それで自分をあまやかすのだぁ。
「いち花今さ」
ふいに凪が言葉を投げてくる。
「リンゴジュース買って自分を甘やかそうとしてるでしょう?」
「ぬぬっ。おぬし、なぜわかった?」
「いや、もうガキンチョの頃からの付き合いなんで。わかりますよ」
そうだよね。
「凪もみんなも、自分をあまやかしてあげてね」
そんな日があったっていいじゃない。
さて、波乱の十月公演が終わったから、十一月公演はどうなるかしら?
わたしも今から楽しみなんだっ。
つづく




