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7ー2 『赤ずきんは赤い靴を履きたい衝動を抑えきれない』前編

 皆様、本日はようこそ劇場部においでくださいました。部長の甲斐野(かいの) いち()です。


 十月公演はオリジナルを大いに無視をしたハッピーエンドを目指しております。最後までどうかごゆるりとご観劇ください。


〘開演ブザーの音〙


 ✿出演者


赤ずきんちゃん……春夏冬(あきなし) (れん)


おばあさんおよび妖精……甲斐野 いち花


王子およびオオカミ……音澤(おとざわ) 陽稀(はるき)


かたり……椋木(くらき) (なぎ)


かたり「昔々あるところにとても貧しい家がありました。貧しいのですが、赤ずきんちゃんは赤いものが大好きで、いつも赤いものを身に着けております。赤いずきんに赤い靴。色だけならば、赤も黒もたいして値段に差がありません。ですがやっぱり、葬儀の際は黒でないと」


おばあさん「赤ずきんや、今日は親類の葬儀だから黒い服と黒い靴を履きなさい」


赤ずきん「嫌です」


おばあさん「そういうルールなのです。従いなさい」


赤ずきん「嫌です。どうしてもと言うのなら、黒い服と黒い厚底ブーツ、それに黒いマニュキアにファンシーな黒のクラッチバッグを買ってください。そうでなければ留守番します」


おばあさん「そこまで言うのなら、留守番していなさい。でもご飯はあげませんからね」


赤ずきん「かまいません」


かたり「こうして赤ずきんちゃんは留守番をすることになりました。一人での留守番を不安に思うこともなく、赤ずきんちゃんは絵を描きます。黒いレースをふんだんに使ったゴシップ調の服と厚底ブーツ、ピンをふんだんに使ったクラッチバッグ、もちろん全部黒です」


赤ずきん「あ〜あ。本当はゴスロリの格好したいのに、貧乏で着れないから赤でごまかしてるのに、なんかせつないわ」


妖精「おやおや? そこなる可愛らしい少女は、有名な赤ずきんではないかい?」


赤ずきん「あらやだ。ババ臭いしゃべり方」


妖精「ババ臭いとはよく言ったものよね。あのねぇ、あなたにお望みの服を着せてあげるから、その代わりにお城の舞踏会に行って欲しいのよ」


赤ずきん「嫌です。どうせ中途半端に魔法が解けて、わたしのことをバカにするつもりなのでしょう?」


妖精「あんたねぇ、両親に先立たれて可愛そうだと思うから、縁談を用意してあげたってのに、無視するつもり? だいたい、ゴスロリなんてあんたみたいに骨ばった骨格の子には似合わないのよっ」


赤ずきん「ひっどぉ〜いっ!! わたしだって、人並みにご飯が食べられたらふっくらして女性らしい体つきになれたのにっ」


妖精「小学三年生で身長180センチの分際でよく言うわよ。まぁでも、貧乏で満足に食べられないのもまた事実だものね。それで? あなた、赤いドレスだったら舞踏会に行くの? それとも黒がいいの?」


赤ずきん「え? 衣装替えもあるの?」


妖精「勘弁してよ。衣装代なんて妖精の自腹切ってるんだから一着だけです」


赤ずきん「そうねぇ。赤いピンヒールは履いてみたいわ。それならいつもの赤いずきんをパーカーっぽく見せられるかもしれない」


妖精「靴限定かい。そしてもう面倒くさいから、ちゃっちゃと着替えてお城に行きなっ」


かたり「こうして赤ずきんちゃんは、赤いずきんをパーカーっぽく肩に垂らしてお城に乗り込んだのです」


 中編へつづく



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