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6ー5 打ち上げ

「かんぱぁ〜いっ!!」


 みんなの声と、炭酸飲料のペットボトルが盛大にかち鳴らされる。


 あの『白雪姫』をこんなことにしてしまった凪って、ひょっとしてすごいのかしら?


「ありがとう。お芝居はとてもおもしろかったし、みんなからの拍手もすごくうれしかった。これでもう、どこに行っても元気にやれる自信がついたよ」


 純くんは泣き笑いの顔でぐちゃぐちゃだったけど、とてもうれしそうだった。


「どこに行っても元気でなっ」


 陽稀もいつもよりさみしそう。純くんとは仲良しだったもんね。


「うん。元気しか取り得ないから」

「いいや、純。きみには素晴らしい才能がほかにある。照明を任せたら世界一だよ」


 蓮がめずらしく純くんを褒めた。褒めてるのか正直なところわからないけど。


「うん。将来は照明係目指そうかな。そうしたらまた、きみたちと会えるかもしれないだろう?」

「そうなったら素敵だね」


 わたしが言うと、恥ずかしそうに鼻の下をこすった。


「へへっ。甲斐野がびっくりするくらいのイケメンにイメージチェンジするから、楽しみにしててよ」


 うん、てわたしも頷いて。なんでか涙が出てきた。


 わつしたちよりほんの半年早く大人にならざるを得ない純くんのこれからの日常が、どうか物語の世界よりも残酷なものでありませんように。それを、心から願うよ。


「みんな笑おうよ。ほら、写真撮ろう」


 みんなで並んで、スマホで写真を撮った。


 今日限りで、純くんのスマホは解約されてしまうから。今のうちにたくさん写真を撮った。

  

 人生ははかなくもせつない時があるけれど。それでもどうか、笑顔を忘れないでいて欲しい。


 そうでなければ、つらすぎるから。

 

 あえてさようならを言うようなわたしたちじゃないから。

 

「またな! 純」

「おう、陽稀。女の子泣かせるなよっ」

「またね、純」

「うん。蓮はそのままで充分かわいいぞ」

「またな、純」

「うん。凪のこと、本気で尊敬している。演劇、つづけてくれよな」

「どこかで会おうね。純くん」

「うん。劇場部の看板女優さんを泣かせたことがあるんだって、自慢してもいい?」

「いいよ」


 今、この瞬間が、どうか心の奥の方でもかまわないから、残りますように。


 あなたのしあわせを、心から願います。

   

     つづく

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