3ー4 『ウサギとカメ、時々カチカチ山』後編
語り「なんと、ウサギは知り合いのカピバラに頼んで川の水流を逆向きに変えてしまいました。これにはカメも大弱りです。と、そのうちにウサギが木の船に乗り込み、ついにカメに追いついてしまいました」
ウサギ「へへん。やっぱりぼくが一番だ」
語り「そして、一番でゴールしたウサギは、人間たちに皮をはがれて食べられてしまいました。遠くからそれを見ていたカメは、あわてて川の中にもぐり、人間がいない岸まで逃げ泳ぎましたとさ。悪いことはできないし、人間本位の世の中ですね。え? この作品のどこがハッピーエンドなのかって? だってあなた、人間なのでしょう? でしたらやっぱり、ね?」
〘閉演ブザーの音〙
あらあら。やっぱり観客はざわめいているわよね。わたしもこれはやりすぎなんじゃないかって思ったけど。
ハッピーエンドと言ったら違うと思うけど、これはこれで凪っぽいのよね。
それにしても人間、ここまで悪く書かれちゃうと、考えることが多いわ。
それから、タヌキ役の陽稀は散々な目にあう役を充分に発揮しておもしろかった。
たまにはこういう画用紙にウサギの絵を描いたやつを頭にかぶるタイプのお芝居も素人味があってたのしかったな。
想像していた『ウサギとカメ』からは懸け離れていたけれど、楽しかったからよしとしましょう。
というわけで、六月分はこれにて閉幕します。
みなさまお足元にお気をつけてお帰りください。
つづく




