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3ー2 『ウサギとカメ、時々カチカチ山』前編

 皆様、本日は六月公演にお越しくださり、まことにありがとうございます。劇場部部長の甲斐野(かいの) いち()です。


 本日の公演は『ウサギとカメ、時々カチカチ山』となっております。どうか最後までごゆっくりお楽しみください。


 ✿出演者


語り……椋木(くらき) (なぎ)


ウサギ……甲斐野 いち花


カメ……春夏冬(あきなし) (れん)


タヌキ……音澤(おとざわ) 陽稀(はるき)


〘開演ブザーの音〙


語り「むかしむかしあるところに、一羽のウサギが住んでいました」


ウサギ「あ〜、いそがしい、いそがしい」


語り「ウサギは得意の足をいかして宅配の仕事をしていました」


カメ「ああ、ウサギさん、こんにちは。今日もいそがしそうですね」


ウサギ「やあ、カメさん。今日もノロノロしてやがりますね。うっとおしいんで目の前にいないでくださいよ」


カメ「またそんなひどいことを言う。わかってくれると思いますけど、ぼくは早く動けないんですよ」


ウサギ「へぇ〜。そいつはまたうらやましいことで。こっちはあっちに配達、こっちに配達で手一杯なんですわ。じゃあまた」


カメ「ええ。……まったく。とうしてウサギさんはこんなに意地悪を言うんだろうな」


語り「その一方で、人間に対しては心優しいウサギさんを演じていました。だって、そうしないと人間に食べられてしまうでしょう?」


ウサギ「ええもう本当に。食べられてしまったら、頑張って働く意味がないじゃないか。まったく」


語り「またその一方で、タヌキは人間に意地悪ばかりしていました」


タヌキ「へへぇ〜んだ。人間なんて、ちょっと化かせばすぐにだまされるんだぜ。こんなおもしろいこと、やめられるわけがないだろう?」


語り「そこで、人間たちはウサギとカメ、そしてタヌキを競争させて、優勝した者にご褒美をあげることにしました。ところが、実はこれ、タヌキをこらしめるための作戦なのでした」


ウサギ「なるほど? たきぎを背負い、船で沖に早く出た者が勝ちということだね。わかった、やるよ」


タヌキ「へぇ、なんだかおもしろそうだなぁ。でもカメは船に乗らないで泳ぐのか。その分カメが有利に思えるけど。いっちょやってみるか」


カメ「え〜? なんだか負けそうな予感しかしないなぁ。でも、ご褒美はきになるし。わきった、やるよ」


語り「こうして、三者がそろってスタートしました」


 中編へとつづきます。

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