2ー3 オリジナル劇『悲劇のヒロインの恋』前編
みなさま、本日はまことにありがとうございます。劇場部の部長、甲斐野 いち花です。今回の演目は副部長である椋木 凪のオリジナル作品『悲劇のヒロインの恋』です。みなさまどうぞおくつろぎの上、ごらんになってください。
✿出演者
イチカ……甲斐野 いち花
ハルキ……音澤 陽稀
妖精および女子生徒……春夏冬 蓮
道化師……椋木 凪
〘開演ブザーの音、幕があがる〙
イチカ「はぁ〜。まったく。今日も疲れ損だわ。わたし、本当は学級委員長とかやりたくないのに」
ハルキ「イチカお疲れ。そっちのクラス終わった?」
イチカ「ええ、今終わったところよ。ハルキは?」
ハルキ「俺たちも終わったところなんだ。なぁ、遅くなったついでに買い食いして帰らない?」
イチカ「ちょっとぉ。わたしを太らせようって魂胆だな? いいよ。今日は疲れたし、買い食いにつきあってあげる」
ハルキ「サンキュー。なんてかさ、最近俺たちの周りってカップルが増えたじゃん? だからなんか気まずいよな」
イチカ「わかるぅ。なんかもう、相手は誰でもいいみたいになってるのに、わたしのことは避けてるっぽくってさ」
ハルキ「本当だよな。……あれ? 一年生?」
〘ハルキの前に顔を赤くした女子生徒が頭を下げる〙
女子生徒「あのっ、ハルキ先輩。あたしずっと先輩のことを見てました。おつきあいしてくださいませんか?」
ハルキ「え? 待って、俺? いいけど。こんな時間まで待ってたの?」
女子生徒「ずっと待ってました。そのっ。先輩は、イチカ先輩とお付き合いしてないのですか?」
ハルキ「全然そんな気配もないよ。ただの幼馴染み」
イチカ「せっかくだから、ハルキ送ってあげなよ」
ハルキ「いいの? じゃ、そういうことで」
〘二人去る。後ろ姿を切なげに見送るイチカ〙
イチカ「バカ。わたしの気持ちに気づいてないくせに、勝手なこと言ってくれちゃって。あ〜。もうなんか一気に疲れてきた。わたし、ずっと前からハルキのことが好きだったんだよ? それなのにあんな風に言うなんてあんまりだよっ」
〘イチカ泣く〙
イチカ「そうだよ。わたしの方がずっと前からハルキのことを好きだった。それを言えばきっと……。ハルキももしかしてわたしのことを好きでいてくれてるかもしれない。でも、違ったら? あたし、悲しくて泣いてしまうかもしれない。今みたいに」
中編につづく




