表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/1062

第9話03セメントの巨人

決断の刃と絶望の巨影


ニックスの刀が死泥鬼の顔へと迫る。


——しかし、その刹那。


「……この一撃で、彼を殺してしまうかもしれない……」


一瞬の迷いが、彼の動きを鈍らせた。


そして——死のコンクリートは、それを決して見逃さなかった。


「だから言っただろう?」


冷笑と共に、死のコンクリートの身体がわずかに捻れる。


「お前たちは、俺を倒せないってな!!」


瞬間、強烈な膝蹴りが炸裂。


「——ッ!」


ニックスの身体が宙を舞い、そのまま後方の大木へと叩きつけられた!


「ニックス、大丈夫か!?」


フィードが駆け寄る。


ニックスは歯を食いしばりながら、ゆっくりと身体を起こす。


「……あぁ、大丈夫……」


額から一筋の汗が伝う。


「……ごめん……俺、ためらっちまった。」


「誰だって、ためらうさ。」


フィードは静かに言った。


「僕だって、魔物を殺す時はいつも躊躇う。結局、それも命だからな……」


「フッ……いいねぇ、感傷に浸る余裕があって。」


二人の会話を遮るように、死のコンクリートが楽しげに笑った。


「でもな——そんな暇は、もうないぞ?」


彼が手を叩くと、背後の地面が波打つように揺れ——


ドンッ!


土煙と共に、巨大なセメントの人形が姿を現した。


「もう飽きてきたし、この戦いを終わらせようぜ?」


死のコンクリートの言葉と同時に、巨大なセメント人形が一歩を踏み出す。


その手には、圧倒的な重量感を持つ巨大な刃が握られていた。


さらに——


「俺の本気を、舐めるなよ?」


死のコンクリート自身の腕もまた、黒いセメントに包まれ、長刀の形へと変貌していく。


「これが俺の全力だと思ったか?」


「さあ——ゲームの終わりだ。」


絶望の刃が振り下ろされる


巨大なセメント人形の剣が、うねるような軌道で振り下ろされる。


その圧倒的な攻撃範囲を前に、ニックスとフィードは即座に回避行動を取る——


だが、遅い!!


「……ッ!!」


二人の身体が、強烈な衝撃に襲われ、無慈悲に吹き飛ばされる!


ゴッ——!!


弾き飛ばされた二人は地面に叩きつけられ、砂埃が舞い上がった。


「くそっ……」


痛みに耐えながら、ニックスが歯を食いしばる。


視線を上げた瞬間——


目の前に、死のコンクリートが立っていた。


「——まだ終わっていないぞ!」


彼は楽しげに微笑む。


両手のセメントが、不気味に渦を巻きながら収束していく。


それは、秘めた球体へと変貌していった——。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ