第8話最終章もう一度やりましょう!
覚醒の誓い、決戦の幕開け
「……あなただ。」
——優しく、しかし確かな存在感を持つ声が、ニックスの耳に響いた。
「そうだよ、ニックス。」
——光の中に立っていたのは、彼がよく知る“精霊”だった。
「今回、すごく強い敵に出会ったみたいだね。でも、大丈夫。」
穏やかな眼差しが、まっすぐにニックスを見つめる。
「君ならできる。僕たちなら、絶対に勝てるはずだ。」
「君は最強になるって言ってたじゃないか。」
ニックスの心臓が、高鳴る。
「……また、前回のように強くなろう。」
静かに、しかし確信に満ちた言葉が落ちる。
「ニックス、君の魔力神経を感じてみて。」
——その瞬間だった。
全身に、熱い奔流が走った。
それはまるで、封じ込められていた力が解き放たれるような感覚——
「……ああ。」
拳を握る。
戦える。いや——勝てる。
「さあ、倒そう。」
***
——その瞬間、戦況が一変した。
フィードが再び攻撃を受けそうになった、その刹那——
「俺の友達に手を出すな!!」
——ズガァァァン!!!
爆発的な衝撃と共に、死のコンクリートの巨体が数メートル吹き飛ばされた!
「なっ……!?」
信じられないものを見るような目で、死のコンクリートがニックスを睨む。
しかし、その驚愕の表情に、ニックスはただ不敵な笑みを浮かべるだけだった。
「やっぱり君ならできるって信じてた。」
精霊の言葉が脳裏に蘇る。
「さあ——続けよう。」
***
フィードが口元を拭いながら立ち上がった。
「ニックス、ここは任せて。」
「……任せるなんて言えないさ。」
フィードはニックスをじっと見つめ、拳を強く握りしめた。
「僕もまだ全力を出していないからね。」
「君と同じように、少し時間が必要なんだ。」
「なら——」
ニックスは剣を振りかざし、鋭い眼差しで死泥鬼を見据える。
「俺が時間を作る。」
***
死のコンクリートは、その場で腕を組み、余裕の笑みを浮かべた。
「よし、君たちに時間をあげよう。」
「強くなったら——またかかってこい。」
フィードは深く息を吸い、目を閉じる。
——ドクン……ドクン……
全身の筋肉が、徐々に高揚し、熱を帯びていく。
「僕の魔力神経は弱い……」
目を開けると、瞳がまるで燃え上がるかのように光を宿していた。
「……だからこそ、力が必要なんだ。」
フィードは、地面を強く蹴りつける。
——ズンッ!!
衝撃波が広がる。
彼の身体全体から、まるで炎のような強烈なオーラが吹き上がった。
拳をゆっくりと握り上げ、ボクシングの構えを取る。
「——強化完了。」
***
ニックスは、それを見て笑った。
「フィード、いい感じだな。」
剣をゆっくりと持ち上げ、死のコンクリートに向ける。
「実はさ……お前の名前、結構気に入ってるんだよな。」
「……なに?」
死のコンクリートの眉がピクリと動いた。
「だって、すごく面白いじゃないか。」
「何だと!!?」
怒りに満ちた咆哮が響く。
「さあ——」
ニックスが構え、フィードが拳を握り込む。
「第2ラウンドの始まりだ!!」




