第8話11強敵出現
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死の影、忍び寄る殺意
「でも……もう何時間も経った気がする。」
フィードは周囲を警戒しながら、少し緊張を解くように息を吐いた。
「もし、この怪物どもを殺した奴がまだ近くにいるなら、とっくに気配を感じてもおかしくない。もう去ったんじゃないか?」
「そうだな……」
ニックスもフィードの意見に頷きながら、慎重に洞窟の出口へと足を向けた。
「でも、油断は禁物だ。万が一、まだ潜んでいたら厄介なことになる。」
二人は静かに洞窟を後にしようとした。
——その瞬間!
シュッ!シュッ!!
鋭い風切り音と共に、二本の尖ったスパイクが闇の中から猛スピードで飛んできた!
「くっ!」
フィードとニックスは咄嗟に反応し、体を横に跳ねて回避。
ガンッ!!
スパイクは背後の岩壁に突き刺さり、衝撃で岩が砕ける。蜘蛛の巣のような深い亀裂が、壁全体へと広がった。
「ほう……なかなかの身のこなしだな。」
冷え冷えとした声が洞窟の外から響いた。
ゆっくりと歩み寄る影——
その男は堂々とした足取りで姿を現した。闇に紛れるような黒いローブを纏い、口元には冷笑を浮かべている。
「さて、お前たち——勝手に俺の縄張りに踏み込んで、何の用だ?」
男の目がニックスとフィードを鋭く射抜く。
「冒険者か?」
不敵な笑みを浮かべ、手のひらをゆっくりと開く。
「つまり、俺を捕まえに来たってわけか。」
ニックスとフィードは、その瞬間、同じことを考えた。
「……厄介な奴が来たな。」
だが、二人は答えなかった。
「ん? どうした、黙り込んで。」
男の目が細められる。
「まあ、死体と話す趣味はないがな。」
ピクリ——
彼の指がわずかに動いた瞬間、ニックスとフィードの危機感が一気に爆発した。
「来るぞ!」
フィードはすかさず身構え、拳を固く握りしめる。
しかし——
「……何も来てないぞ?」
ニックスが一瞬、違和感を覚えた次の瞬間——
「違う! 上だ!!」
二人が反射的に上を見上げると——
無数のスパイクが天井から降り注いできた!!
「くそっ、避けきれない……!」
鋭利なスパイクの群れが、雨のように二人を貫かんと迫る!
「なら、切り裂くしかない!!」
ニックスが素早く剣を抜き、フィードは拳に全力を込めた。
ザシュッ! バキィッ!!
ニックスの剣閃が空を裂き、フィードの拳が猛撃を繰り出す。二人の猛攻によって、迫りくるスパイクは次々と砕け散り、金属の破片が飛び散る。
粉塵の中、男はゆっくりと手を下ろし、不敵な笑みを浮かべた。
「ほぉ……反応速度もパワーも、なかなかのものじゃないか。」
その目が冷たく細められる。
「お前たち、青桐クラスの雑魚じゃないな? ……流水か?」
唇の端を持ち上げ、男は愉快そうに笑った。
「なら、少し面白くなりそうだな。」
男の気配が変わる。空気が一気に冷たくなり、まるで全身を見えない鎖で締め付けられるような圧迫感が広がる。
フィードは歯を食いしばりながら、拳を強く握りしめた。
「……お前は何者だ?」
男は嘲るように肩をすくめ、ゆっくりと口を開いた。
「俺か?」
男は一歩踏み出し、薄暗い洞窟の入り口に立った。
「まあ、この名前なら聞いたことがあるだろう。」
暗闇の中、彼の口元に不吉な笑みが浮かぶ。
「通称——死のコンクリート)」
ニックスとフィードの背筋が凍る。
「指名手配番号、49位だ。」
静寂が支配する洞窟内——
殺気が、まるで濃密な霧のように広がっていった。




