第55話09 白き極光
---
バイスタは全力で剣を掲げて受け止めた。だが、その想像を絶する力は瞬時に大地を粉砕し、周囲の地面をまるで布切れのように引き裂き、崩れ落とした。衝撃の余波で大地は激しく震え、砕けた岩や土塊が空高く舞い上がる。バイスタの半身は無理やり亀裂だらけの地面に押し込められ、胸が潰されるような重圧に息を詰まらせた。
だが、巨人の攻勢は終わらない。その一瞬の隙を狙い、風の巨人は巨大な左腕を振り下ろし、バイスタの肋骨を直撃した。重厚な鎧はその一撃で脆い紙のように粉砕される。凄まじい衝撃力により、バイステの身体は弾丸のように吹き飛ばされ、巨木へと激突した。木が轟音を立てて折れ、木片が雨のように散り落ちる。
「……違う、違う、違う!」
翠緑の長髪を靡かせる男は高みから見下ろし、嘲笑と侮蔑を混ぜた声で吐き捨てた。その眼差しは、烈風に晒された鋼鉄のように冷たかった。
「これが貴様の言う“限界を超えた力”か? 脆すぎるな。私はまだ最強の一撃すら繰り出していないのに、もう倒れたのか。……空気が退屈になってきたな。伝説の“第三段階”だというのに、これほどのものか? 魔力の出力が多少増した程度で、本質的な変化は見られん。フッ……その“神のモード”とやらは、結局この程度の古臭く退屈な伝統にすぎぬのか?」
土煙の中、バイスタの影が揺らめき、やがて彼はゆっくりと立ち上がった。彼は重き大剣を掴み上げ、その双眸には不屈の光が燃え盛る。
「……貴様はまだ全力を出していないと言ったな。だが、その時点で確信した。貴様の力では、真に俺を倒すことはできん。そして、俺の行く道を阻むこともできん。」
バイステの声は低く、しかし絶対の自信を帯びていた。
「俺がなぜ倒れたかを問うたな……だが考えたことはあるか? あの攻撃が、本当に俺の全力だったのかと。」
その言葉が大気を震わせた刹那、バイスタの身を包む極光が異変を起こした。星々を織り上げたような五彩の輝きが徐々に色を失い、調色盤から一色ずつ掻き消されていく。そして最後に残ったのは――純白。純粋無垢にして絶対なる光。白き極光が全身を覆い尽くし、それはまるで聖火のように烈しく、また雪のように清らかに彼を照らし出す。その姿は、まるで神が地に降り立ったかのようであった。
翠緑の長髪の男は鼻で笑い、口元を嘲るように歪めた。
「色が変わった……それがどうした。ただ色が変わっただけで戦局を覆せると思うとは、愚かしい。」
しかし、バイスタは答えない。彼は剣柄を握りしめ、深く息を吸い込み、静かに片目を閉じた。獲物を狙う狩人のごとき集中をもって標的を射抜く。動作は簡潔にして果断――次の瞬間、彼はまるで槍を投げるかのように、大剣を猛然と投擲した!
空気が裂ける轟音とともに、白き閃光が天地を貫く雷となって疾走し、風の巨人の躯を直撃する。翠緑の長髪の男はすぐさま巨人の腕を振り下ろし、再び攻撃を受け止めようとした。
だが――今度は違った。巨人の巨大な腕は白光の前にあまりにも脆く、一瞬で粉砕された。風の巨人の防御は無惨に打ち砕かれる。
「……な、何だと!?」
翠緑の髪を揺らす男の瞳が見開かれ、その顔には稀に見る動揺と驚愕が浮かんでいた。
「この力……何だ!? 奴の一撃には、何か別のものが混じっている……! 何だ、何が奴の斬撃をここまで強大にしたというのだ!?」
---




