第53話 11 安らぎの明日へと歩みを進める
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終わったのか!? 星はどこにいる?連れて行かれたのか?他のみんなは?怪我はしてないか?村長は無事?村人たちは避難できたのか……!
ニックスは矢継ぎ早に質問を投げかけた。
「ちょっと待って、一度落ち着いて。そんなに一気に聞かれても、私も全部は答えられないよ。まずは横になって、しっかり休んで。君がこうして元気に喋ってるのを見て、安心したよ。みんな無事だよ。」
その言葉に、ニックスはようやく肩の力を抜いた。
「ごめん、気が張り詰めてて……さっきまでの戦闘のせいだ。」
夢子は静かにうなずいた。
「聞きたいことはまだたくさんあるよ。あの少女のこととか、あの連中がなぜ彼女を狙うのかとか……それに、あなたたちが“創世”の一行に関わっていたって話も。」
ニックスは答えた。
「星のことは、ちゃんと説明するよ。でも、あいつらの目的が何なのか……それだけは、本当に分からない。前に遭遇したのは偽物だった。でも、今回の連中は――間違いなく本物だ。実力がまるで違う。完全に次元が違うんだ。このままじゃ……また星が狙われたら……」
そこまで言って、ニックスの目に悔しさが滲んだ。
「俺がもっと強ければ……もっと強ければ、みんなを守れたのに……!」
「どれだけ強くなっても、すべてを守れるわけじゃないよ。」
夢子は静かに語る。「この世界には、どうしても避けられない“悔い”ってものがある。でも大事なのは、それをどう受け入れて、どう乗り越えるか。その“悔い”を、前に進む力に変えることだよ。」
その言葉を聞いたニックスは、思わず笑ってしまった。
「まさか……黒い心を持つお医者様に、そんな前向きなことを言われるなんてな。」
そう言った瞬間、夢子の手が彼の頭を軽く叩いた。
「いってぇ!」
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